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不動産DX

不動産会社の非財務KPI—売上より先に見る対応・引き継ぎ・在庫品質

結果が出る前に、対応と情報の詰まりを毎週直す

10分で読める

先に答え

不動産会社の非財務KPIは、対応の速さ、期限超過の未完了、引き継ぎ欠損、顧客・案件データの欠損、在庫情報の更新遅れを測ります。売上の説明ではなく、現場が今週直せる先行指標として運用します。

この記事は売上、粗利、広告費、反響単価、成約率といった財務・営業KPIを扱いません。それらは不動産会社の経営者が毎月見る数字不動産KPIダッシュボードで扱っています。ここでは、売上へ表れる前に対応・引き継ぎ・在庫品質の異常を見つける指標に限定します。

非財務KPIは「基準超過時に何をするか」まで決める

数字を並べるだけでは業務は変わりません。対象、開始・終了時刻、除外条件、担当者、確認頻度、基準を超えたときの行動を一組にします。まずは既存システムから取得できるかより、業務上の定義をそろえます。

領域定義する対象測る項目異常時の行動
初動受付から担当者の最初の有効対応まで時間帯別の経過時間、社内期限超過件数当番・通知・代理担当を見直す
未完了次の対応または完了理由がない案件期限超過件数、最長経過時間、理由担当と次回期限を再設定
引き継ぎ担当変更時の必須情報と次の約束欠損件数、引継ぎ後の再確認件数必須項目と受領確認を修正
データ品質顧客・案件・物件の必須項目空欄、重複、矛盾、更新者不明の件数入力元と責任者を特定
在庫鮮度公開・申込・停止・成約など現況の確認確認期限超過、媒体間不一致の件数確認・更新・公開停止を実行

対応速度:時計の開始と終了を統一する

受付時刻はポータル通知の受信、電話の着信、フォーム送信など媒体で違います。終了も、自動返信、担当者の架電、顧客と接続できた時点で意味が違います。自社では「担当者が内容を確認し、顧客へ次の行動を示した時刻」など、有効対応を定義します。

  • 営業時間内・外、媒体、店舗別に分ける
  • 平均だけでなく、中央値、期限超過件数、最長経過を見る
  • 連絡不能、担当不在、通知漏れ、情報不足など遅延理由を残す
  • 速度を上げるために内容確認を省略しない

初動の設計は不動産反響対応の速度設計でも詳しく扱っています。

未完了と引き継ぎ:案件数より「次がない状態」を見る

対応済みのチェックが付いていても、次回連絡日、必要書類、顧客への約束、担当者がなければ止まります。担当変更時は、顧客へ同じ質問を繰り返す回数や、期限を再確認した件数も記録します。

  1. 現在の状態、最終接点、次の対応、期限、担当を必須にする
  2. 完了は成約だけでなく、見送り・他決・連絡終了の理由まで入れる
  3. 引継元と引継先が同じ案件画面で受領を確認する
  4. 期限超過を週次会議の前に一覧化し、担当と期限を決め直す

顧客情報の持ち方は不動産チームの顧客管理を参照してください。

データ欠損:空欄だけでなく矛盾と更新者不明を数える

電話番号の空欄だけでなく、同じ顧客の重複、案件と物件の紐付け違い、希望条件の更新日不明、担当者不明も対象です。全項目を完全にするのではなく、次の判断と引き継ぎに必要な項目から欠損を測ります。

  • 問い合わせ:受付元、受付時刻、連絡先、相談内容
  • 案件:状態、担当、次の対応、期限、終了理由
  • 顧客:希望条件、資金・時期の確認日、連絡許諾
  • 物件:公開状態、価格、申込状況、確認日、更新者

在庫情報の鮮度:公開状態と確認期限を管理する

国土交通省は、レインズのステータス管理機能で「公開中」「書面による購入申込みあり」「売主都合で一時停止中」の区分を売主が確認できることを案内しています。また、消費者庁の資料には不動産のおとり広告に関する表示が景品表示法上の指定事項として挙げられています。日々の運用では、公開中の件数だけでなく、現況確認の期限超過と媒体間の不一致を見ます。

物件ごとに確認日、確認者、根拠、次回確認期限を持ちます。申込、成約、募集停止、価格変更を受けたら、どの媒体を誰が更新したか記録します。入力作業の改善は不動産物件入力の効率化も参考になります。

具体場面:週次会議を「古い案件と在庫」から始める

会議前に、初回対応期限超過、次回期限超過、引き継ぎ必須項目欠損、物件確認期限超過を一覧にします。売上報告の後で時間が余ったら見るのではなく、担当、次の行動、期限をその場で更新します。理由別件数が続くなら、個人への注意ではなく通知、当番、入力項目、更新経路を直します。

来週できる一歩:直近案件と公開在庫を棚卸しする

  1. 直近の問い合わせから、受付・有効対応・次回期限の時刻を確認する
  2. 次の対応、期限、担当、完了理由がない案件を一覧にする
  3. 担当変更案件で必須項目と顧客への約束が引き継がれたか確認する
  4. 公開中物件の現況確認日と媒体間の状態を照合する
  5. 最も多い一つの不備へ担当者と修正期限を設定する

before / afterで測る項目

  • 受付から有効対応までの中央値、期限超過件数、最長経過時間
  • 次の対応・期限・担当がない未完了案件数
  • 引き継ぎ必須項目の欠損と、顧客への再確認件数
  • 顧客・案件・物件データの空欄、重複、矛盾件数
  • 在庫の確認期限超過と媒体間の公開状態不一致件数

よくある質問

不動産会社の非財務KPIは何から始めますか?

問い合わせ受付から初回対応までの時間、期限を過ぎた未完了案件、担当変更時の必須項目欠損、公開中物件の確認期限超過から始めます。売上指標とは別に、毎週直せる項目を選びます。

対応速度は平均時間だけ見ればよいですか?

平均だけでは長時間放置された案件が隠れます。時間帯別の中央値に加え、社内期限を超えた件数、未対応の最長経過時間、連絡不能や担当不在などの理由を確認します。

KPIを増やしすぎない方法はありますか?

各KPIに担当者、確認頻度、基準超過時の行動を一つずつ付けます。行動につながらない指標は外し、受付・引き継ぎ・在庫更新の詰まりから一つずつ改善します。

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に30社以上の業務改善に携わる。

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