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有給管理をExcelで無料で始める方法—管理簿の項目・関数・限界が来る目安

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執筆:泉 款太(株式会社SalesDock 代表取締役)累計40社以上の中小企業を支援

有給管理をExcelで無料で始める方法—管理簿の項目・関数・限界が来る目安

結論

この記事は配布用のテンプレートファイルではありません。表と式を自分で作る前提で、コピーして使える式と列の構成を載せています。先に付与のルールを文書にしておくと、Excelでもシステムでも作り直しが減ります。

  • 有給管理は、社員台帳と取得記録の2枚のシートがあれば、無料のExcelで法律上必要な管理簿の項目を満たせます。
  • 法律上外せないのは、基準日・付与日数・取得日を記録した管理簿を保存すること(当分の間は3年間)と、年10日以上付与される人に年5日を取得させることです。
  • 人数が増えて付与月が人ごとにばらける、拠点ごとにルールが違う、といった状態になったら、Excelの限界が近いサインです。

有給の付与日数と消化数をExcelに手入力していて、そろそろ限界かもしれない、という段階の方に向けて書いています。まず無料のExcel(Googleスプレッドシートでも同じ)でどこまでできるかを示し、そのうえで、Excelでは回らなくなる目安を書きます。

有給管理で、法律上そろえておくこと

外せないのは「年次有給休暇管理簿」の作成・保存と、年5日の取得です。どちらも労働基準法とその施行規則に定めがあり、2019年4月から全企業に適用されています。

  • 管理簿に入れる項目:基準日(有給を付与した日)、付与した日数、実際に取得した日(時季)の3つです。
  • 保存期間:有給を与えた期間中と、満了後3年間です(施行規則の本則は5年で、附則により当分の間は3年とされています)。電子データでの保存が認められており、必要なときに出力できる状態にします。
  • 年5日の取得義務:年10日以上付与される労働者に、付与日から1年以内に5日を取得させます。違反すると30万円以下の罰金の対象になります。
  • 時効:有給は付与から2年で消えます。繰り越せるのは前期に付与された分の残りだけです。

年5日には、本人の請求による取得、会社が時季を指定した取得、計画的付与のどれも数えられます。半日単位の取得は0.5日として数えますが、時間単位の有給は数えられません。細かい要件は厚生労働省の解説で確認してください(末尾に出典を置いています)。

① 基準日に付与日数を入れる入社6か月後、以後は1年ごと② 取得したら1行ずつ記録取得日・日数(半日は0.5)③ 毎月、残りと5日を確認期限の3か月前から5日未満を表示
付与・記録・確認の3つを回せば、管理簿の要件は満たせます。③を月1回に決めておくと、年末にまとめて5日を探す事態を避けられます。

無料のExcelで作る有給管理表の列と関数

シートは「社員台帳」と「取得記録」の2枚に分けると、壊れにくくなります。1枚に取得日を横へ並べていく作り方は、列が増えるたびに集計式がずれて、壊れやすい形です。

取得記録1取得につき1行社員台帳基準日・付与使用・残日数5日チェック入社日の入力人ごとに1回だけ
入力するのは「入社日」と「取得の1行」だけにします。付与日数・残日数・5日チェックは台帳の関数が出します。

「社員台帳」シートの1行目に次の列を作り、2行目以降に1人1行で入れます。

列入力 / 関数中身
A 社員名入力氏名または社員番号
B 入社日入力2024/4/1 のように日付で入れる
C 今期の基準日関数入社6か月後が最初の基準日。以後は1年ごと
D 付与日数関数勤続月数から10〜20日を引く
E 前期からの繰越入力前期に付与された分の残りだけ
F 使用日数関数取得記録シートから今期分を合計
G 残日数関数D + E − F
H 5日取得チェック関数10日以上付与で、基準日から9か月たっても使用5日未満なら表示(期限の3か月前から)
I 次回基準日関数C の1年後(入社6か月未満は空欄)

「取得記録」シートは、A列に社員名、B列に取得日、C列に日数(1日なら1、半日なら0.5)、D列に区分(本人請求・会社指定・計画付与)を入れます。台帳の2行目に入れる関数は次のとおりです。

セル関数
C2 今期の基準日=IF(DATEDIF(B2,TODAY(),"m")<6,"",EDATE(B2,6+12*INT((DATEDIF(B2,TODAY(),"m")-6)/12)))
D2 付与日数=IF(C2="","",LOOKUP(DATEDIF(B2,C2,"m"),{6,18,30,42,54,66,78},{10,11,12,14,16,18,20}))
F2 使用日数=IF(C2="","",SUMIFS(取得記録!C:C,取得記録!A:A,A2,取得記録!B:B,">="&C2,取得記録!B:B,"<"&EDATE(C2,12)))
G2 残日数=IF(C2="","",D2+E2-F2)
H2 5日取得チェック=IF(C2="","",IF(AND(D2>=10,F2<5,TODAY()>=EDATE(C2,9)),"5日未達(期限間近)","OK"))
I2 次回基準日=IF(C2="","",EDATE(C2,12))

付与日数の関数は、週5日勤務(または週30時間以上)の人を前提にしています。付与するには、全労働日の8割以上出勤していることも条件です。8割に届かなかった年は、D列を手で0に書き換えます。H列は、基準日から9か月が過ぎても使用が5日に届いていない人だけに「5日未達(期限間近)」を出します。付与の直後から1年間ずっと表示が出る式にすると、警告が常に点灯して見られなくなるためです。条件付き書式で赤く塗っておくと、台帳を開いた瞬間に目に入ります。C列が空(入社6か月未満)の行は、D〜I列がすべて空欄になります。

付与日数の早見表(フルタイムと、週4日・週3日のパート)

付与日数は、勤続期間と週の所定労働日数で決まります。週5日以上(または週30時間以上)の人は上の関数どおり10〜20日です。週4日以下かつ週30時間未満の人は、日数が比例して少なくなります。

勤続期間フルタイム週4日週3日
6か月10日7日5日
1年6か月11日8日6日
2年6か月12日9日6日
3年6か月14日10日8日
4年6か月16日12日9日
5年6か月18日13日10日
6年6か月以上20日15日11日

週2日・週1日の区分は、厚生労働省の「年次有給休暇」の案内で確認してください。週4日・週3日の人は、D列の LOOKUP の結果の配列を、この表の列に差し替えて使います。

6か月10日1年6か月11日2年6か月12日3年6か月14日4年6か月16日5年6か月18日6年6か月〜20日
フルタイムの付与日数は、6年6か月で頭打ちの20日になります。基準日が入社日ではなく入社6か月後から始まる点が、計算ミスの出やすいところです。

Excelの手入力でつまずきやすい場面

支援の現場で見られる、Excel管理がつまずく場面を3つ挙げます。いずれも関数の書き方の問題ではなく、ルールが文書になっていないことが原因でした。

  • 付与のタイミングが人ごとに違う:複数拠点を持つ法人では、休暇の付与日数・消化数をExcelに手入力していて、付与のタイミングと日数のルールをまとめた資料もないことがあります。有給の付与・使用を自動計算する個人管理シートを作ると、「残り何日かだけ見えれば問い合わせが減る」という声が現場から出やすくなります。
  • ルールの文書が先に要る:勤怠に休暇の付与を組み込もうとして、先にルールを文書にする話になる会社もあります。有給の付与月は人ごとに違い、自社基準の休暇もあるのに、まとまった資料がないためです。
  • 休暇の名前と中身が合っていない:独自の休暇名が実態とずれている会社があります。たとえば名前は祝日に関係しそうでも、実際は在籍月数と役割で日数が変わる自社独自の休暇で、名前だけが昔の運用のまま残っている、といった形です。独自の休暇があるなら、名前と日数のルールを一覧にしてから表を作ります。

Excelを組む前に、付与のルールを一枚の紙に書き出すのが一番効きます。入社何か月で何日付与するか、独自の休暇があるか、いつ失効させるか。この3点が決まっていれば、上の表はそのまま使えます。

Excelでは回らなくなる目安

人数そのものより、「確認する人の手が足りなくなる状態」が来たら見直しどきです。目安は次の4つです。

  • 入力が二重になる:休みの申請は紙やチャットで受け、あとで担当者がExcelへ転記している。転記漏れで残日数が合わなくなります。
  • 基準日がばらける:人ごとに付与月が違い、毎月誰かの基準日が来る。更新の漏れが年5日の未達に直結します。
  • 本人が残日数を見られない:「あと何日ありますか」という問い合わせが担当者に集まる。
  • 拠点ごとにルールが違う:複数拠点を持つ法人では、拠点ごとに運用が違い、雇用契約書の整備も追いついていないことがあります。ルールが揃わないまま道具だけ変えても、移行は進みません。

この状態になったら、有給管理だけを切り出さず、勤怠全体の仕組みとして考えるほうが早く済みます。クラウド勤怠の費用や法令要件はクラウド勤怠とは何かで、Excelから仕組みへ移す表の選び方はエクセル業務のシステム化で整理しています。

今週やること

  1. 社員全員の入社日と、現在の付与日数・使用日数を一覧に集める(半日はいったん0.5で数える)。
  2. 独自の休暇があれば、名前・日数・失効のルールを書き出す。
  3. この記事の列で「社員台帳」と「取得記録」を作り、2〜3人分で付与日数と残日数が実態と合うか確かめる。
  4. H列の「5日未達(期限間近)」を毎月1日に見る担当者を1人決める。

効果は、毎月の確認にかかる時間と、「残り何日ですか」という問い合わせの件数で測れます。導入前の1か月を数えておくと、Excelのままで足りるか、仕組みに移すかを数字で判断できます。有給の管理は、経営管理の基盤を支える日々の記録のひとつで、SalesDockが接続コンサルとして支援する、業務・データ・仕組みの接続の入口になる領域です。

有給の付与ルールの整理から相談したい方へ

Excelのまま続けるか、仕組みに移すか。付与のルールと現在の運用を一緒に棚卸しして、次の一歩を決めます。

無料診断で現状を確認する

一次情報・公式情報

制度は改定されます。最新の内容は公表元でご確認ください。この記事は2026年10月17日時点の内容です。

有給管理のよくある質問

有給管理は無料のExcelだけでできますか

できます。入社日と基準日から付与日数を出す列、取得日を1行ずつ記録するシート、使用日数と残日数を集計する列があれば、法律上必要な年次有給休暇管理簿の項目(基準日、付与日数、取得日)を満たせます。ただし人数が増え、付与月が人ごとにばらけると、更新と確認の手間が大きくなります。

年次有給休暇管理簿は何年保存しますか

有給を与えた期間中と、その期間が満了したあと3年間です。労働基準法施行規則の本則は5年ですが、同規則の附則で、当分の間は3年とする経過措置があります。電子データで保存してかまいません。必要なときに出力して見せられる状態にしておきます。

年5日の取得義務は誰に対するものですか

年10日以上の有給が付与される労働者です。正社員だけでなく、付与日数が10日以上になるパート・アルバイトも対象になります。付与日から1年以内に5日を取得させる必要があり、本人の請求、会社が時季を指定した取得、計画的付与のどれも5日に数えられます。

半日や時間単位の取得はExcelでどう記録しますか

取得記録シートの「日数」列に、1日なら1、半日なら0.5と入れます。時間単位の有給は年5日の取得義務の日数には数えられないため、日数の列とは別の列に時間を記録しておくと混ざりません。

Googleスプレッドシートでも同じように管理できますか

できます。この記事で示す関数(EDATE、DATEDIF、LOOKUP、SUMIFS)はGoogleスプレッドシートでも使えます。複数人で同時に入力でき、無料で使える点は利点ですが、誰がどのセルを書き換えたかを残す運用は別に決めておく必要があります。

泉

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に、累計40社以上の支援に携わる。

運営は株式会社SalesDock(大阪市中央区本町)。中小企業向けに、AI自走プラン(初期構築15万円+月額10万円・90日)と、 そのあとのAI顧問(月額5万円・6ヶ月契約から)を提供しています。価格は税別です。 大阪・関西を中心に、オンラインで全国からのご相談に対応しています。

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この記事の数値について

本文中に一次資料へのリンクがある数値は、リンク先を出典としています。 リンクのない業務設計、判断基準、実務上の目安は、SalesDockが累計40社以上の支援と自社運用で得た知見を一般化したものです。 個別企業での成果を保証する数値ではなく、条件によって変わります。

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