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工数削減の進め方|減らす作業の選び方と、やめる・まとめる・任せるの順番
執筆:泉 款太(株式会社SalesDock 代表取締役)累計40社以上の中小企業を支援

結論
工数削減は、削りたい作業を1つ選び、その作業の「月の回数×1回の時間×人数」を測ったうえで、やめる、まとめる、二重入力をなくす、AIやツールに任せる、の順に検討して進めます。いきなりツールを入れると、要らない作業や二重の作業まで速くしてしまいます。着手前に1回分だけでも時間を測っておくと、後から削減を時間で言えます。
- 工数は「回数×1回の時間×人数」なので、削減もこの3つのどれを減らすかで考えます。
- 減らす作業は、時間が一番かかるものとは限りません。月の工数・手順の書きやすさ・手戻り・現場の「面倒」の4つで1つに絞ります。
- 手を付ける順番は、やめる→まとめる・揃える→二重入力をなくす→AIやツールに任せる、です。
- 効果は、着手前に測った「前」と同じ数え方で測り直した「後」の差で示します。
「忙しいので工数を減らしたい」と思っても、何から手を付けるかで迷う場面は多いはずです。この記事では、工数を3つの要素に分け、減らす作業を選び、どの順で手を打つかを説明します。工数そのものの出し方は工数の計算方法で扱っているので、ここでは「減らす」側に絞ります。
工数を減らす手は、回数・1回の時間・人数の3つしかありません
工数は「回数×1回の時間×人数」で決まるので、削減もこの3つのどれかを減らすことに行き着きます。どれを狙うかで、打つ手が変わります。
| 減らすもの | 意味 | 打ち手の例 |
|---|---|---|
| 回数を減らす | その作業が月に起きる回数 | 月末にまとめて1回にする、依頼の形式を統一して聞き直しをなくす |
| 1回の時間を減らす | 1回にかかる時間 | 手順を揃える、二重入力をやめる、AIに下書きさせて人は確認だけにする |
| 人数を減らす | 同じ作業にかかわる人 | 確認の段数を減らす、担当を1人に寄せる |
多くの現場で最初に狙われるのは「1回の時間」ですが、回数を減らす方が効く作業もあります。たとえば、毎日1件ずつ来る依頼を、決まった時間に1回でまとめて処理するだけで、毎回の準備の時間が消えます。
進め方は、測ってから1つに絞る5つの手順です
全業務を一度に見直す必要はありません。次の5つの手順で、1つの作業から始めます。
| 順 | やること | ここで決めること |
|---|---|---|
| 1 | 作業を一覧にする | 「請求書の仕分け」「月末の突き合わせ」のように、1人が一続きでやる単位で書きます |
| 2 | 今の工数を測る | 月の回数と、1回の時間を書きます。1回分だけでも実測します |
| 3 | 減らす作業を1つ選ぶ | 次の表の4つの問いで選びます。全部には手を付けません |
| 4 | やめる→まとめる→任せるの順に検討 | 任せる前に、やめられないか、まとめられないかを先に見ます |
| 5 | 1か月後に同じ式で測り直す | 改善前と同じ数え方で比べ、差を時間で残します |
業務の一覧づくりが止まっている場合は、業務棚卸しのやり方から始めると、手順1と2が埋まります。
減らす作業は、時間が一番かかるものとは限りません
業務の詰まりを聞くと、まず出てくるのは契約書づくり、資料づくり、転記など、一番時間がかかる作業です。実際に時間は食っていますが、それが一番の問題とは限りません。ミスが出て直しが続いている作業や、現場が嫌がって後回しにしている作業の方が、全体を止めていることがあります。
逆の偏りもあります。業務の自動化は、たいてい実装しやすいところから手が動きます。メールの下書き、日程の候補出し、一覧づくりなどです。一番面倒な業務は後回しになりがちなので、「作りやすいから選んだ」のか「効くから選んだ」のかを、選ぶ前に区別してください。次の4つの問いで比べると、判断がぶれにくくなります。
| 問い | 見方 |
|---|---|
| 月の工数が大きいか | 回数×1回の時間が、他の作業より明らかに大きいものを優先します |
| 手順が書けるか | 手順が言葉で書ける作業は、揃える・任せるがやりやすくなります |
| ミスや手戻りが出ているか | 手戻りの時間は見えにくいので、直しの回数も一緒に数えます |
| 誰かが「面倒」と言っているか | 時間は短くても、現場が一番嫌がっている作業が本命のことがあります |
手の打ち方は、やめる・まとめる・二重入力をなくす・任せるの順です
選んだ作業には、次の表の上から順に当てはまるものがないかを見ます。上にある手ほど、少ない費用で効きます。
| 打ち手 | 対象の例 | 効いたかの見方 |
|---|---|---|
| やめる | 誰も読んでいない報告、使われていない一覧 | やめても困る人がいないかを、受け取り手に確かめる |
| まとめる | 毎日バラバラに来る依頼を、決まった時間に1回で処理する | 1回の準備時間が減ったかを測る |
| 揃える | 請求書の形式、問い合わせの聞き取り項目 | 聞き直しの回数が減ったかを数える |
| 二重入力をなくす | 同じ数字を2つの表に手で入れている作業 | 入力の回数と、突き合わせの時間を別々に測る |
| AI・ツールに任せる | 読み取り・転記・下書きなど、手順が決まった作業 | 人が確認する時間を含めて測る |
AIやツールに任せる前に、入力そのものを減らせないかを見る考え方は手入力をAIで削減する方法でも整理しています。
支援先の相談では、仕分けと突き合わせに時間が集まっていました
請求書の仕分けに、1回約3時間
福祉・介護・保育の施設を複数運営する法人グループでは、事業所ごとの支払い請求書の仕分けに1回約3時間かかっていました。1か月分の請求書をまとめて本部に送るため、消耗品、保健衛生費、日用品費など数百の項目を、勘定科目ごとに色分けして仕分けています。先方でChatGPTも試したものの、結果がずれて断念したそうです。請求書のPDFの文字がつぶれていたことも一因でした。これは相談段階の事例で、着手の第一候補として、AIで会計ソフトへ入力する検証を提案した段階です。
売上表と請求ソフトの突き合わせに、月末数日
同じ種類の別の法人グループでは、日々の利用料を売上表(Excel)と介護請求ソフトの両方に手入力し、月末に印刷して利用者ごとに突き合わせていました。人の作業が4つあり、月末に数日かかります。現場の実感は「照合そのものより、入力とズレの原因探しが大変」というものでした。そこで、2つのCSVを読み込んで差のあるところだけを出す照合のデモを作って見せました。目標は、人の作業を「CSVを出す」「差を直す」の2つにすることです。これも相談段階で、効果はまだ測っていません。
どちらの事例も、「時間のかかる作業」を機械に置き換える前に、作業を分けて見ています。入力が2回あるのか、突き合わせが重いのか、PDFが読めないのか。原因が違えば、効く打ち手も違います。
削減の効果は、着手前に測った「前」と同じ式で示します
効果の説明で詰まるのは、改善後の数字ではなく、改善前の記録がないことです。前の1回の時間を測っていないと、「楽になった」という感想しか残りません。次の数字は仮のものですが、月12回の請求書の仕分けが、手順の見直しで1回240分から160分になった場合の計算です。
| 時点 | 月の回数 | 1回の時間 | 月の工数 |
|---|---|---|---|
| 改善前 | 月12回 | 240分 | 月48時間 |
| 改善後 | 月12回 | 160分 | 月32時間 |
| 差 | — | 80分 | 月16時間(2人日) |
着手前に、1回分だけでも時間を測って記録しておくことが、後から削減を数字で言うための条件です。月の工数に直す式や、人日・人月への換算は工数の計算方法の通りです。
削減した時間が別の作業に消える失敗に注意してください
工数削減がうまくいかないときは、手法の選び間違いより、次の3つが原因のことが多くあります。
- 前を測っていない:改善後の時間だけが残り、比べる相手がありません。
- 入力だけを測って、突き合わせを数えていない:重い部分が計算から抜けると、削減の効果も過大・過小になります。
- 浮いた時間の行き先を決めていない:別の依頼に吸われて、現場には「楽になった」感覚が残りません。
3つ目は、削減の前に「浮いた時間を何に使うか」を1行書いておくだけで防げます。顧客への連絡を丁寧にする、確認の回数を増やす、次の改善に充てるなど、使い道が決まっていると、効果が実感として残ります。
来週は、1つの作業を測るところから始めてください
気になっている作業を1つ選び、直近1か月の回数を数え、1回の時間を1回だけ測ります。それが「前」の記録になります。その上で、表の上から順に、やめられないか、まとめられないかを見ていきます。
SalesDockは、成長に経営管理・業務・データ・仕組みが追いつかない中小企業を支援しています。工数削減も、ツールを選ぶ前に、業務の流れと時間の前提を整理するところから一緒に始めています。
NEXT STEP
減らす作業を一緒に選ぶ
いまの業務の一覧や作業の記録を見ながら、どの作業から減らすかを無料相談で整理します。
無料相談を申し込む工数削減でよくある質問
工数削減とは何をすることですか?
ある仕事を終えるのに必要な人の作業量(工数)を減らすことです。工数は「作業の回数×1回の時間×人数」で表せるので、削減は回数・1回の時間・人数のどれかを減らすことになります。人を減らすことが目的ではなく、同じ成果を少ない作業量で出せる状態を作ることです。
工数削減は、まずどの作業から手を付ければよいですか?
月の工数が大きく、手順が言葉で書ける作業を1つ選ぶのが目安です。ただし、一番時間がかかる作業が一番の問題とは限りません。現場が「面倒」と感じている作業や、ミスと手戻りが出ている作業も候補に入れて、4つの問いで比べてください。
AIやツールを入れれば工数は減りますか?
作業そのものが要らなかった、または二重入力だった場合は、先にそれをなくす方が効きます。要らない作業や二重の作業をAIで速くしても、無駄が速くなるだけです。やめる・まとめるを検討してから、残った作業にAIやツールを使うと、効果が測りやすくなります。
工数削減の効果は、どう数字にしますか?
改善前と改善後の「月の回数×1回の時間」を同じ数え方で出し、その差を時間で示します。前の数字が無いと比べられないので、着手前に1回分だけでも時間を測っておくことが大切です。計算の手順は、工数の計算方法の記事にまとめています。
削減した時間は、どこへ行きますか?
決めておかないと、別の作業に埋もれて見えなくなります。浮いた時間を何に使うか(顧客対応、確認の丁寧化、次の改善など)を、削減の前に1行書いておくと、効果が実感として残ります。
泉 款太(いずみ かんた)
株式会社SalesDock 代表取締役
慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に、累計40社以上の支援に携わる。
運営は株式会社SalesDock(大阪市中央区本町)。中小企業向けに、AI内製化(初期構築15万円+月額10万円・90日)と、 そのあとのAI顧問(月額5万円・6ヶ月契約から)を提供しています。価格は税別です。 大阪・関西を中心に、オンラインで全国からのご相談に対応しています。
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本文中に一次資料へのリンクがある数値は、リンク先を出典としています。 リンクのない業務設計、判断基準、実務上の目安は、SalesDockが累計40社以上の支援と自社運用で得た知見を一般化したものです。 個別企業での成果を保証する数値ではなく、条件によって変わります。