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工数の計算方法|人時・人日・人月の換算と、回数×時間で積み上げる見積もりの手順

執筆:泉 款太(株式会社SalesDock 代表取締役)累計40社以上の中小企業を支援

工数の計算方法|人時・人日・人月の換算と、回数×時間で積み上げる見積もりの手順

結論

工数は、「作業が月に何回起きるか」に「1回に何分かかるか」と人数を掛けて、作業ごとに出し、全部を足して求めます。作業ごとの「回数×1回の時間×人数」を人時(1人が1時間)で足し、必要なら会社で決めた1日の時間(例:8時間)で割って人日、1か月の営業日数(例:20日)で割って人月に直します。式そのものは小学校の掛け算です。計算が外れる原因は、式ではなく、回数と時間の前提が空欄のまま見積もることにあります。

  • 工数は「作業の回数×1回の時間」を作業ごとに出して足し、人時で合計してから人日・人月に直します。
  • 人日・人月の換算(1人日=何時間、1人月=何人日)は決まった正解がないため、見積もる側と受ける側で先に揃えておきます。
  • 期間と人数から逆算するときは、会議や問い合わせを引いた稼働率を掛けます。
  • 計算の精度は式ではなく、回数・時間・人数の前提がどれだけ埋まっているかで決まります。

開発の見積もり、業務改善の効果測定、人員計画、外注の依頼。工数の計算が要る場面は多いのですが、出てくる数字は「だいたい3人月」のように、どう出したのか誰も説明できないことがよくあります。この記事では、現場で使われている「回数×1回の時間」の積み上げを軸に、単位の換算から表のひな形、実績との突き合わせまでを順に説明します。

案件ごとの人件費を時間単価に直して原価に入れる方法はプロジェクト原価管理をエクセルで行う方法で扱っています。この記事は、その手前にある「そもそも工数をどう出すか」に絞ります。

工数は「作業の回数×1回の時間」を作業ごとに出して足します

工数とは、ある仕事を終えるのに必要な、人の作業量のことです。時間で表すのが基本で、人数を掛けた値になります。数え方は次のとおりです。

  • 1人が3時間かける作業は、3人時です。
  • 2人がそれぞれ3時間かける作業は、6人時です。

計算の基本は、作業を細かく分けて、それぞれ次の式で出すことです。

作業の工数(人時)= 回数 × 1回の時間 × 1回あたりの人数
全体の工数     = 作業ごとの工数の合計

「システムの開発に3人月」のように、ひとかたまりのまま大づかみで出すと、後から中身を検証できません。作業単位に分けておくと、どの作業が重いか、どこを減らすと効くかが見えます。

人時・人日・人月は、換算を先に決めてから使います

工数の単位には、人時・人日・人月があります。人時で足し、人日・人月は報告や見積書用に直すと考えると整理しやすくなります。

工数の単位と換算の例
単位意味決めておくこと
人時(にんじ)1人が1時間かける作業量作業を積み上げる最小の単位です。業務の見積もりはここで足します
人日(にんにち)1人が1日かける作業量1人日=8時間のように、社内で時間数を決めておきます
人月(にんげつ)1人が1か月かける作業量1人月=20人日(160時間)のように、営業日数を決めておきます

1人日が何時間か、1人月が何人日かには、決まった正解がありません。たとえば1日8時間、1か月20営業日なら160時間ですが、会社や契約によって違います。見積もる側と受ける側で換算がずれると、同じ「2人月」でも、実際に使える時間が変わってしまいます。見積書の隅に換算の前提を1行書いておくだけで、食い違いはかなり防げます。

作業ごとに出す回数 × 1回の時間 × 人数全部を足す(人時)ここまでは時間のまま足す人日に直す人時 ÷ 1日の時間(例:8)人月に直す 人日 ÷ 20(例)
足すのは人時、割るのは最後です。人日や人月のまま足すと、端数の扱いで食い違います。

積み上げは、作業に分けて回数と時間を決める5つの手順です

実際に工数を出すときの手順を、順に並べます。どの業務にも使えます。

工数を積み上げる手順
順やることここで決めること
1業務を作業に分ける「請求書の仕分け」「納品後の確認電話」のように、1人が一続きでやる単位にします
21か月の回数を数える月に何回その作業が起きるかを、カレンダーや履歴から数えます
31回の時間を決める1回やって測るか、担当者に聞いて、分で書きます
4回数×1回の時間×人数を足す作業ごとに掛けて、全部を足します。この合計が人時です
5予備を足して単位を直す想定外の分を足してから、人日・人月に直します

手順の3と4で数字が空欄のまま進めてしまうと、積み上げは成立しません。たとえば、ある法人が業務の棚卸し表を作ったものの、時間と人数の列が全行空欄だったとします。この表では、どの業務を先に直すと効くのかを比べられません。まず業務を「手順が書けるか」「頻度と人数はどれくらいか」といった軸で束ね、束ねた単位ごとに回数と1回の時間を埋めるところから始めると、比べられる表になります。棚卸しの進め方は業務棚卸しのやり方にまとめています。

計算例:追いかけ作業を「回数×1回の時間」で積み上げる

仮の数字で見てみます。ある会社が展示会で名刺を集めた50件に、フォローの連絡をする場面を考えます。1件につき電話は平均2回弱、メールは3通で追いかけた結果、電話は合計90回、メールは合計150通になったとします。1回あたり5分とすると、次のように積み上がります。

計算例:仮に50件を追いかけた場合の工数
作業回数1回の時間工数
電話での追いかけ90回5分450分(7.5時間)
メールでの追いかけ150通5分750分(12.5時間)
合計——1,200分(20時間)=2.5人日

展示会で集めた50件を、電話90回・メール150通で追いかけ、各5分とすると、合計1,200分(20時間)で、1日8時間なら2.5人日です。内訳は電話が約7.5時間、メールが約12.5時間です。ここに、商談への同席の時間は入っていません。工数の計算では、何を含めて何を含めなかったかを、表の外に書き残しておくことが大切です。後で実績と比べるときに、差の原因が「作業が増えた」のか「最初から数えていなかった」のかを区別できます。

もう1つ、1回あたりの時間を実測する仮の例です。複数の事業所を持つ会社で、各事業所の支払い請求書の仕分けに、1回4時間かかっていたとします。1か月分の請求書をまとめて本部へ送るため、多数の項目を勘定科目ごとに色分けしている作業です。月に1回なら4時間ですが、事業所が複数あれば事業所の数だけ掛かります。式にすると「4時間×事業所数×12か月」です。実測した1回分の時間を、そのまま積み上げの1行に使えます。

期間と人数から逆算するときは、稼働率を掛けます

「この仕事は10営業日で終えたい、何人要るか」という問いには、逆向きに計算します。

使える工数(時間)= 人数 × 日数 × 1日の時間 × 稼働率
必要な人数     = 全体の工数 ÷(日数 × 1日の時間 × 稼働率)

稼働率は、1日8時間のうち、会議や問い合わせ対応、移動などを引いて、実際にその仕事に向けられる割合です。先ほどの20時間の追いかけ作業を5営業日で終える場合を例にすると、次のようになります。

  • 全体の工数は20時間、期限は5営業日、1日は8時間です。
  • 稼働率を70%と置くと、1人が使える時間は5日×8時間×0.7で28時間です。
  • 全体の工数が20時間、1人の使える時間が28時間(5日×8時間×稼働率70%)なら、必要な人数は20÷28で約0.71人です。

つまり、稼働率70%の人なら1人で足ります。1人が使える28時間のうち、20時間を使う計算です。なお、稼働率は置いた前提で、必要な割合ではありません。5営業日の40時間に対して必要な20時間は5割(20÷40)です。稼働率を100%で計算すると、会議などの時間が見えなくなり、足りなくなりやすくなります。稼働率は仮置きでよいので、過去の1週間の記録から決めてください。

① 見積もる回数×1回の時間② 記録する実際にかかった時間③ 差を見る実績 ÷ 見積もり④ 直す差の大きい作業だけ全部を直さず、差の大きい作業の「1回の時間」だけを書き換えて次の見積もりに使う
見積もりは一度で当てず、実績で直し続けます。直す対象は式ではなく、作業ごとの1回の時間です。

エクセルのひな形は、作業名・回数・1回の時間・根拠の4列で足ります

積み上げの表は、次の列を置いたものをそのまま使えます。最後の「前提・根拠」の列が、後から見直せる表と、数字だけが並ぶ表との違いになります。

工数の積み上げ表の列と記入例(2行目の場合)
列記入例
A列:作業名請求書の仕分け
B列:担当経理担当
C列:月の回数12
D列:1回の時間(分)240
E列:月の工数(時間)=C2*D2/60
F列:前提・根拠1回の所要時間を1回分だけ実測。多数の項目の仕分けを含む

記入例の請求書の仕分けは、月に12回なら 12×240分÷60=48時間(6人日)です。合計は、E列をSUMで足すだけです。作業の担当者ごとに分けて集計したいときは、SUMIFS関数で担当列を条件にします。

月の工数(時間) =C2*D2/60
全体の合計(時間)=SUM(E2:E50)
人日に直す    =SUM(E2:E50)/8
担当別の合計   =SUMIFS(E2:E50, B2:B50, "経理担当")

出典:Microsoft サポート「SUMIFS 関数」

工数がずれる原因は、式でなく空欄と数え漏れにあります

見積もりと実績が合わないとき、式を疑っても原因は見つかりません。確認するのは次の3つです。

  • 回数が空欄または推測:月に何回起きるかを、履歴で数えずに感覚で書いていないかを確認します。
  • 1回の時間が、うまくいった日の値:最短の回ではなく、普通の回と、手戻りが出た回の両方を測ります。
  • 待ち時間と照合が数えられていない:日々の入力の工数だけでなく、突き合わせとズレの原因探しが含まれているかを確認します。

3つ目は、現場の実感が強く出る部分です。たとえば、売上表と請求ソフトの両方に日々の利用料を手入力し、月末に印刷して利用者ごとに突き合わせている会社を考えます。人の作業が複数あり、月末に数日かかります。現場の実感は「照合そのものより、入力とズレの原因探しが大変」というものになりがちです。入力の時間だけで工数を見積もると、一番重い部分が計算から抜けます。照合は「差のあるところを出す」「差を直す」に分けて、それぞれ回数と1回の時間を置くと、抜けを防げます。

精度は「実績÷見積もり」を作業ごとに記録して上げます

工数の計算は、一度で当てるものではありません。作業が終わるたびに、実際にかかった時間を記録し、見積もりとの比を出します。1.0に近ければ当たりで、1.3なら見積もりより3割多くかかったことになります。比が大きい作業の、1回あたりの時間だけを書き換えて、次の見積もりに使います。

見るのは次の2点です。作業ごとの比が、回を重ねて1.0に近づいているか。そして、記録が欠けた週がないか。記録の欠けは、そのまま実績の過少になります。実績の記録と案件別の粗利への結びつけはプロジェクト原価管理をエクセルで行う方法、見積もりと実績の差を原価に戻す手順は見積と実績の差異を原価と突き合わせる手順に続きます。入力や集計が複数人に分かれて衝突するようになったら、Excelからシステムへ移すタイミングが判断の目安です。

来週は、1つの業務で「回数×1回の時間」を埋めてみてください

全業務に広げる必要はありません。気になっている業務を1つ選び、直近1か月の回数を履歴から数え、1回の時間を1回だけ測ってみます。それだけで、表の4列が埋まります。工数がどの業務に偏っているかを知りたいなら、顧客ごとに見る顧客別採算の計算方法が次の一歩です。

SalesDockは、成長に経営管理・業務・データ・仕組みが追いつかない中小企業を支援しています。工数の計算も、時間・人数・頻度の前提を整理するところから一緒に始めています。

NEXT STEP

工数の前提を一緒に整理する

いまの業務の一覧や作業の記録を見ながら、回数・1回の時間・人数の前提を無料相談で整理します。

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工数の計算でよくある質問

工数と作業時間は同じ意味ですか?

工数は、作業にかかる人の時間や作業量を、人数まで含めて表す言葉です。1人が3時間かければ3人時、2人が3時間ずつかければ6人時になります。言葉の使い分けは業界や文脈で異なりますが、この記事では、作業時間を1回の作業にかかった時間そのもの、工数をそれに人数を掛けた作業量として扱います。

1人月は何時間として計算すればよいですか?

決まった正解はなく、会社や契約ごとに決めます。たとえば1日8時間、1か月20営業日とすれば、1人月=160時間です。大切なのは、見積もる側と受ける側で同じ換算を使うことです。見積書や契約書には換算の前提を一行書いておくと、後で食い違いません。

期間と人数から必要な工数を出すには、どう計算しますか?

逆算の式は「人数×期間(日数)×1日の稼働時間×稼働率」です。たとえば3人が10営業日、1日8時間、稼働率を70%とすると、3×10×8×0.7=168時間になります。稼働率は会議や問い合わせ対応を引いた実際に作業に使える割合で、過去の記録から決めます。

見積もった工数は、どのくらいの精度で当たりますか?

初回は大きくずれるのが普通です。ずれの大きさを責める必要はなく、見積もりと実績の比を作業ごとに記録して、次の見積もりの1回あたりの時間を直していきます。同じ種類の作業を何度か繰り返すと、ずれが小さくなっていきます。

工数を計算するのに、専用のツールは必要ですか?

最初はエクセルで足ります。作業名・月の回数・1回の時間・前提の4列があれば、工数の積み上げはできます。入力が複数人に分かれて衝突する、毎月の集計に手間がかかる、といった状態が続くようになってから、ツールへの移行を考えれば遅くありません。

泉

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に、累計40社以上の支援に携わる。

運営は株式会社SalesDock(大阪市中央区本町)。中小企業向けに、AI自走プラン(初期構築15万円+月額10万円・90日)と、 そのあとのAI顧問(月額5万円・6ヶ月契約から)を提供しています。価格は税別です。 大阪・関西を中心に、オンラインで全国からのご相談に対応しています。

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この記事の数値について

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