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業務改善

顧客別の値上げ対象を抽出する方法|根拠・承認・交渉履歴の管理

一律の通知ではなく、顧客別の条件と承認理由をそろえる

11分で読める

原価や工数が変わっても、顧客別の契約条件が散らばっていれば価格改定の対象を決められない。一律の値上げ率を先に置くのではなく、現在の採算と契約上の変更時点をそろえ、価格、範囲、数量のどれを見直すか承認する。

採算の作り方は顧客別採算の計算方法、契約の継続・縮小・終了は契約更新の判断管理、既存顧客の選定軸はひとり社長の顧客選定基準で扱う。この記事は、その材料から価格改定候補を抽出し、交渉へ渡すまでに限定する。

顧客ではなく契約単位で候補を出す

同じ会社でも、部署や商品ごとに価格、数量、更新日が違うことがある。変更できる最小の契約単位で一行にし、最後に顧客単位で交渉順をまとめる。

  • 粗利

    現行売上、直接費、提供工数、標準外対応

  • 契約期限

    更新日、通知期限、変更可能な時点

  • 利用量

    契約範囲と実際の数量・頻度の差

  • 代替性

    範囲縮小、仕様変更、別プラン、終了時の影響

  • 交渉履歴

    過去提示、争点、合意条件、次回見直し

候補判定と承認判定を分ける

条件に該当した行は「値上げ決定」ではなく候補にする。営業、提供、管理が事実を確認し、責任者が改定、範囲変更、数量変更、据え置き、終了検討のいずれかを選ぶ。例外には理由と次回見直し日を必須にする。

価格以外の選択肢も同じ表で比較する

  • 価格を改定し、提供範囲は維持する
  • 価格を維持し、数量や対応範囲を標準へ戻す
  • 契約期間や支払条件を見直す
  • 段階的な変更案を提示する
  • 条件が合わない場合の移行・終了手順を確認する

中小企業庁は価格交渉ハンドブックや交渉支援ツールを公開している(中小企業庁「価格交渉支援ツール」)。外部環境の資料だけでなく、自社の原価・工数・契約条件を相手へ説明できる形にする。

交渉を「通知済み」で閉じない

提示したら、相手の争点が価格水準、根拠、時期、社内予算、提供範囲のどれかを記録する。回答待ちには次回確認日を置き、合意した条件は請求・提供・契約の各担当へ反映する。口頭合意だけで価格表を上書きしない。

来週できる一歩:更新が近い契約から試す

  1. 更新期限が近い契約を抽出する。
  2. 粗利、利用量、標準外対応を確認する。
  3. 価格・範囲・数量の選択肢を作る。
  4. 営業、提供、管理で事実を照合する。
  5. 承認者が対象と例外理由を決め、提示準備日を置く。

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よくある質問

値上げ対象は粗利が低い顧客だけで決めますか?

粗利だけでは決めません。契約期限、提供量、標準外対応、代替性、過去の条件変更、顧客への影響を並べ、価格以外の範囲変更も含めて判断します。

全顧客を一律に値上げした方が公平ではありませんか?

同じ商品でも契約時期、提供範囲、数量、個別対応が違えば現行条件は同じではありません。共通の判断基準を使い、顧客ごとの根拠と例外承認を残す方が説明可能です。

交渉履歴には何を残しますか?

提示日、提示条件、根拠資料、相手の争点、回答期限、合意・保留・見送り、次回見直し日を残します。担当者の感想と相手が述べた事実を分けます。

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に、累計40社以上の支援に携わる。

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この記事の数値について

本文中に一次資料へのリンクがある数値は、リンク先を出典としています。 リンクのない業務設計、判断基準、実務上の目安は、SalesDockが累計40社以上の支援と自社運用で得た知見を一般化したものです。 個別企業での成果を保証する数値ではなく、条件によって変わります。

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