売掛金エイジングの作り方|滞留理由と回収優先順位を決める
未入金一覧を、争点と次回行動が見える回収台帳へ変える
売掛金残高が合っていても、どの請求から確認するか決まっていなければ回収は進まない。エイジングは期限超過を責める表ではなく、未入金の状態を分け、次に動く案件を決めるための台帳だ。
入金データとの照合は不動産会社の入金消込、締め作業全体は月次決算の早期化、入金確認を含む業務全体は不動産バックオフィス改革で扱う。この記事では請求後から入金までの滞留理由と回収行動に絞る。
残高ではなく請求単位で一行にする
同じ顧客でも、支払済みの請求と争点のある請求が混在する。顧客残高を一行にまとめず、請求番号をキーにして入金と調整額を結ぶ。
請求日・期限
請求の起点と合意した支払期日
経過日
基準日から期限を超えた日数
争点
未送付、検収、金額、宛先、支払手続など
次回行動
誰へ何をいつ確認するか
責任者
顧客連絡、社内解消、判断の担当
滞留理由を連絡履歴から分離する
「メール送付済み」は行動履歴であり、未入金の原因ではない。請求書未達、検収未了、金額相違、支払手続待ち、入金約束、連絡不能など、現在の状態を一つ選び、事実が変わったら更新する。
優先順位は三つの軸で決める
- 時間:期限超過日数と、次の確認期限が迫っているか
- 影響:資金繰りへの影響と、同じ取引先の継続案件への影響
- 解消可能性:資料不足や社内承認など、自社の行動で解消できるか
金額順だけにすると、少額でも長期化している業務不備を放置する。反対に経過日だけなら、資金への影響が大きい直近案件を見落とす。順位と理由を残し、担当者の感覚だけにしない。
取引条件の問題を一方的な督促にしない
支払期日や価格転嫁を含む取引条件は、発注側と受注側の合意・協議に関わる。中小企業庁は取引適正化や価格交渉の支援情報を公開している(中小企業庁「取引適正化」)。請求根拠や合意条件に争点がある場合は、通常の督促と分けて解消担当を置く。
週次会議は例外だけを見る
- 入金済みを消し込み、残高を更新する。
- 期限を超えた請求の経過日を更新する。
- 争点と次回行動が空欄の行をなくす。
- 担当者で解消できない条件を責任者へ上げる。
- 資金繰り予測へ反映する入金予定日を更新する。
資金の入出金構造を確認する書式は日本政策金融公庫の各種書式ダウンロードも参考になる。回収台帳の予定日は資金繰り側と別々に持たず、同じ請求IDでつなぐ。
来週できる一歩:期限超過分だけ整える
- 基準日を決め、未入金を請求単位で出す。
- 請求日、期限、経過日を確認する。
- 営業と経理で争点を一つ選ぶ。
- 次回行動、期限、責任者を置く。
- 翌週に動かなかった理由を確認し、分類を直す。
業務別の管理表を整える次の題材は業務改善カテゴリで確認できる。
よくある質問
売掛金エイジングは何日ごとに区切りますか?
自社の支払条件と確認頻度に合わせて区切ります。日数帯の名前より、期限内、期限超過、争点あり、入金約束ありを区別し、各行に次回行動があることが重要です。
回収優先順位は金額の大きい順でよいですか?
金額だけで決めません。経過日、資金繰りへの影響、連絡不能、請求内容の争点、相手の入金約束、関係継続への影響を並べ、判断責任者が決めます。
請求内容に争いがある場合も督促しますか?
争点を未解決のまま通常督促へ流しません。請求根拠、検収、金額、窓口のどこが止まっているか分け、必要資料と回答期限を担当者間で決めます。法的判断が必要なら専門家へ確認します。
泉 款太(いずみ かんた)
株式会社SalesDock 代表取締役
慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に、累計40社以上の支援に携わる。
代表者情報を読む →この記事の数値について
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