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業務改善

システム連携図の書き方|1枚に載せる6項目と、止まったときに困る業務の見つけ方

きれいに描くための図ではなく、止まる場所を読むための図

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システム連携図の結論|載せるのは線の形ではなく6項目

システム連携図は、システムの間をどの情報がどう流れているかを1枚にした図です。書く目的は、きれいな図を残すことではなく、どの線が止まるとどの業務が止まり、そのとき誰が何を手でやるのかを読み取れる状態にすることにあります。この6項目が埋まっていれば、線が手描きでも図としては機能します。

  • 連携元と連携先(システム名だけでなく、社内での業務の呼び名も併記する)
  • 流れる向きと項目名/受け渡しの手段/タイミング
  • その項目の正本はどちらか/止まったときに困る業務と、代わりにやる手作業

「うちのシステムのつながりを1枚にまとめてほしい」と言われて手が止まるのは、絵の描き方が分からないからではなく、何をどこまで載せればいいのかが決まっていないからです。四角と矢印を並べた図ならすでに社内にあるかもしれませんが、それを見ても「この矢印が止まったら明日の請求は出せるのか」には答えられません。矢印に何を書き添えるかで、図の価値が決まります。

この記事では、作図の手順やツールの話ではなく、1枚に載せる項目と、そこから何を読み取るかを書きます。なお、線を引くより前に自社で決めておくことがあり、そこはシステム連携でつなぐ前に決める4つ(正本・共通ID・更新責任・止まったときの手順)に分けてまとめています。

システム連携図は、止まる場所を読むための図

システム構成図と混同されやすいのですが、見ている対象が違います。構成図はサーバーやネットワーク、どの機器に何が載っているかという置かれ方です。連携図が描くのは、その間を流れる情報のほうです。中小企業で困っているのはほぼ後者で、受注のデータがどこからどこへ渡っているかを説明できる人が社内に1人しかいない、という状態になっています。

だから、この図の良し悪しは見やすさでは決まりません。書き上がった図を別の部署の人に見せて「ここが1週間止まったら、誰が何をしますか」と聞き、答えが返るかどうかです。返らないなら、線に書き添える情報が足りていません。

線を引く前に決めること

図に書けない状態、というものがあります。同じ項目を2箇所で直せるのにどちらが正しいか決まっていない場合と、同じ顧客を両側で別のキー(片方は会社名の文字列、片方は取引先コード)で持っている場合です。このまま矢印を引くと向きが決められず、両方向の矢印を書いて、書いた本人も意味を説明できなくなります。

順番としては、決めるのが先です。項目ごとに正しい値の置き場所を1つ決める、両側で同じものだと判定するキーを決める、誰が更新できるかを決める。ここを通しておくと、図はほとんど機械的に書けます。決め方はつなぐ前に決める4つを整理した記事に手順の形で書いています。

決まっていないこと自体を図に書く手もあります。矢印の脇に「正本が未決」と書けば、図が決めごとの残タスク表を兼ねます。データの持ち方そのものが怪しい場合は、ツール移行の前にやるデータ構造の棚卸しが先の作業です。

1枚に載せる6項目

矢印1本ごとに、次の6つを書き添えます。逆に言うと、この6つが書けない線は、まだ理解できていない線です。

1. 連携元と連携先(業務の呼び名も併記する)

四角の中に製品名だけを書くと、その製品を触っていない人には読めません。「販売管理システム」の下に「受注入力」、会計ソフトの下に「請求」のように、社内で普段呼んでいる業務の名前を並べます。同じ製品が2つの業務で登場するなら、四角も2つに分けます。

これを省くと、図を読めるのがシステムに詳しい人だけになり、止まったときにいちばん困る現場の人が議論から外れます。

2. 流れる向きと、受け渡す情報の中身(項目名まで)

矢印には向きと、運んでいる情報を書きます。「顧客情報」ではなく「取引先コード、請求先名、請求先住所、締日」まで書く。片方だけ項目が増えたときに、影響範囲がすぐ分かります。

項目名まで書かないと「連携している」という事実だけが残り、渡っていると全員が思っていた項目が実は渡っておらず誰かが毎月手で埋めていた、という抜けが見えません。

3. 受け渡しの手段(手作業の転記/CSV/ツール/API)

その線がどう運ばれているかを書きます。人が画面を見ながら打ち直しているのか、CSVを書き出して取り込んでいるのか、ツールが定期的に動いているのか、直接つながっているのか。色で区別してもよいですが、凡例が要るので、まずは文字で書くほうが確実です。

手段が書かれていないと、人が止まっているのか設定が落ちているのかが分からず、最初に連絡する相手を決められません。

4. タイミング(そのつど/日次/月次/人が思い出したとき)

いつ流れているかを書きます。注文が入るたびなのか、毎晩なのか、月末の締め処理のときだけなのか。正直に書くべきなのが「人が思い出したとき」で、決まった頻度がないなら無いと書きます。

これが無いと、止まったことに何日後に気づくのかが読めません。月次の線が1回飛べば、気づくのは翌月末です。

5. 正本はどちらか

その項目について、どちら側に書いた値が正しいのかを矢印の脇に書きます。両側の画面で直せてしまう場合は「両方で編集可」と明記します。書こうとして初めて決まっていなかったと気づく1行です。

書かないと、現場は「どちらが新しいか分からないので念のため両方に入れる」という動き方をします。誰が作り、誰が変えられ、重複をどちらへ寄せるかを決める手順は取引先マスタの責任者設計(作成・変更・重複解消・廃止を分担する)にまとめています。

6. 止まったときに困る業務と、代わりにやる手作業

この記事でいちばん重要な1行です。その線が止まったとき、どの業務が進まなくなるか。止まっている間は誰が何をして回すか。「出荷指示が出せない。倉庫へ電話で伝えて、翌日に手入力」まで書きます。

書けない線が見つかったら、そこが弱いところです。残りの5項目は、この1行を書くための材料と言ってもいい。止まる原因のよくある形と直し方はkintone連携が止まる原因と保守設計で扱っています。

線の種類ごとに、書き足すことが変わる

6項目のうち3番目(手段)が決まると、その線に追加で書くことが決まります。手段によって止まり方が違うからです。

線の種類図に書き足すこと止まったときの影響
人が転記する受注メールを見て販売管理に入力担当者の人数、締切、転記済みの印をどこに付けるか担当が不在の日に止まる。止まったこと自体が誰にも見えない
口頭・メールでの連絡「この案件は掛売りで」と電話で伝える伝える人と受ける人、記録が残る場所(無いなら無いと書く)伝わらなかったこと自体に気づかない。後追いが効かない
ファイルの受け渡しCSVを書き出して取り込む置き場所、列の順番、文字コード、取り込み済みの管理1回飛んでも翌日に手で流せる。復旧はしやすい
ツールの定期連携連携サービスが毎晩動く実行の間隔、失敗の通知先、重複を防ぐキー気づくのが遅れると、止まっていた期間ぶんがまとめて流れる
直接つながっている個別に作ったAPI連携認証の期限、相手側の仕様変更の追い方、直せる人の名前作った人以外が直せないことが多く、復旧が属人化する

最後の列を埋めると、太く見えていた線より細い手作業の線のほうが危ない、と分かることがあります。自動の線は失敗すればログが残りますが、人の線は止まった記録がどこにも残りません。

人手の転記も、線として書く

連携図と呼ぶと、ツールでつないだところだけを線にしたくなります。ここが分かれ目で、人が画面を見て打ち直している受け渡しも同じ太さの線で書きます。情報がシステムの間を移動しているなら、運んでいるのが機械か人かの違いしかありません。

自動の線だけを図にすると、いちばん止まりやすい部分が消えます。業務が止まる場所は、たいてい人が挟まっているところです。担当者が休んだ、引き継ぎで手順が伝わらなかった、繁忙期に後回しになった。図に無いので、止まってから原因を探すことになります。

書き方は、矢印の脇に「人が転記(受注担当2名・当日中)」と書くだけです。全部書き出してから、どの線を自動にするかを選ぶ。順番を逆にして自動化しやすい線から手を付けると、止まる場所は残ったままになります。

図が半年で嘘になる原因と、更新のきっかけ

書いた図が使われなくなるのは、内容が古くなるからです。原因は2つ。自社側の変更(担当者が代わって運用がずれる、業務の流れが変わる、システムを入れ替える)と、相手側の変更(項目名が変わる、提供が終わる、認証の方式が切り替わる)です。後者はこちらの都合と関係なく起きます。

対策は、定期的に見直す日を決めるより、更新のきっかけを決めるほうが続きます。システムを入れる・やめるとき、業務の担当が代わるとき、連携が止まったとき、仕様変更の通知が来たとき。この4つで図を開くと決めておく。特に3つ目は、直したついでに図も直ります。

図には最終更新日と書いた人を入れておきます。日付が古ければ、読む人は疑ってかかれます。相手側の変更の追い方は、API廃止時の影響棚卸し(接続元・バージョン・代替・移行責任を追う)に書き方をまとめています。

どの業務から図にするか、そもそも先に整えるべき業務はどれかで迷う場合は、3分の事業基盤診断が使えます。選択式の8問で、最初に整える業務と、いまは触らない業務が分かれます。分けるところまでで、連携の可否そのものを判定するものではありません。

効果は、図の中で数えられる

効果を売上や工数で測ろうとすると、他の要因と混ざって判定できません。図から数えられる項目に絞り、書き上がった日に1回数えて、3ヶ月後にもう一度数えます。

  • 図に載った線のうち、人手の転記が何本か
  • 止まったときの代替手順が書けていない線が何本か
  • 直近3ヶ月で実際に止まった線の数と、気づくまで・復旧するまでにかかった時間
  • 図の最終更新日(何ヶ月前か)

2番目がゼロに近づいていれば、その図は業務が止まった日に使えます。3番目は回数を減らすより、気づくまでの時間を短くするほうを先に見ます。気づかない時間が長い線は、止まった回数が少なくても被害が大きくなります。

来週の一歩:1業務ぶんだけ、開始から完了までを1枚に書く

全社を対象にせず、1つの業務を選びます。問い合わせが入ってから請求書を送るまで、あるいは受注から出荷まで。紙を1枚横に置き、左に開始、右に完了を書いて、間に登場するシステムを順番に並べます。

そのうえで、矢印1本ずつに6項目を書き足します。詰まる線が必ず出ます。項目名が分からない、正本が決まっていない、止まったときにどうするか誰も答えられない。その線に印を付けて、担当者に聞きに行く。図の完成より、聞きに行く先が特定できたことのほうが成果です。

書いた1枚を前に、正本の置き場所で判断が割れる場合や、どの線から手を付けるかで迷う場合は、オンライン相談でその1枚を持ち寄って整理することもできます。製品の選定を代行するものではなく、決める順番を一緒に決める場です。

よくある質問

システム連携図とシステム構成図は何が違いますか?

見ている対象が違います。構成図はサーバーやネットワーク、どの機器にどのソフトが載っているかという置かれ方です。連携図は、システムの間をどの情報が、どの向きに、どうやって流れているかを描きます。「つながりが分からない」と言われている状態は、たいてい後者が無い状態です。

作図ツールは何を使えばいいですか?

最初の1枚は紙かホワイトボードで足ります。図が使えるかどうかを分けるのは線の見た目ではなく、載せた項目だからです。ツールは、書いた内容が固まって他の人が更新する段階から選んで間に合います。先に選ぶと、きれいに並べる作業に時間を使い、肝心の「止まったら何が困るか」が空欄のまま完成した気になります。

図はどこまで細かく書けばいいですか?

1つの業務につき1枚、その業務が始まってから終わるまでを収める粒度にします。全社のシステムを1枚に詰めると線が交差して読めず、更新もされません。逆に画面ごとの遷移まで書くと、業務が少し変わるたびに書き直しです。受け渡す情報は項目名まで書き、内部処理は書かない、が目安です。

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に、累計40社以上の支援に携わる。

運営は株式会社SalesDock(大阪市中央区本町)。中小企業向けに、AI内製化(初期構築15万円+月額10万円・90日)と、 そのあとのAI顧問(月額5万円・6ヶ月契約から)を提供しています。価格は税別です。 大阪・関西を中心に、オンラインで全国からのご相談に対応しています。

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