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不動産

不動産向け業務効率化ツール比較10選 — CRM・SFA・スプレッドシート、うちの規模ならどれが正解?

物件管理・顧客管理・電子契約・会計・スプレッドシート自動化。5カテゴリのツールを費用・導入難易度・不動産特化度で比較した

12分で読める

この記事のポイント

不動産会社の業務効率化ツールを5カテゴリ10選で比較。規模別(5名以下/10名前後/30名以上)のおすすめも整理した。迷ったらスプレッドシート1枚から始めるのが、結局いちばん失敗しない。

「うちもそろそろ何かツール入れたほうがいいですかね」

不動産会社の経営者や店長から、この相談をよく受ける。SUUMOやHOME'Sの反響対応に追われ、物件登録は手作業、顧客管理はExcelのまま。「DX」という言葉が気になりつつも、何から手をつけていいか分からない。

正直に言うと、ツール選びで最初に考えるべきは「何を入れるか」ではなく「今の規模で本当に必要か」だと思う。5名以下の会社がSalesforceを契約しても、入力する人がいなければ月額だけが積み上がる。

この記事では、不動産会社でよく使われるツールを5つのカテゴリに分けて比較した。費用・導入難易度・不動産特化度を一覧にしているので、自社の規模と照らし合わせながら読んでほしい。

1. 物件管理系 — いえらぶCLOUD / 日本情報クリエイト

不動産業界に特化したオールインワンのシステム。物件情報の一元管理、ポータルサイトへの一括入稿、反響の自動取り込みなどが主な機能になる。

いえらぶCLOUDは仲介会社向けの色が強い。SUUMO・HOME'S・at homeへの連動、反響メールの自動取り込み、追客管理まで一気通貫でカバーしている。一方、日本情報クリエイトは賃貸管理や契約書発行に強く、管理会社寄りのラインナップ。

ただし、どちらも月額費用は安くない。導入初期費用を含めると年間100万円を超えるケースもある。営業3名以下の小規模店舗だと、費用対効果を慎重に見る必要がある。

2. CRM / SFA系 — Salesforce / kintone / HubSpot

顧客情報の管理、営業活動の記録、パイプライン管理が主な用途。不動産に限らず、BtoB・BtoCを問わず使われている汎用ツール群だ。

Salesforceは機能の豊富さでは圧倒的だが、設定の自由度が高い分、初期構築に専門知識が要る。月額も1ユーザーあたり3,000円〜と高め。kintoneはノーコードでアプリを作れる柔軟さが魅力で、不動産会社でも物件台帳や反響管理をカスタマイズしているケースを見かける。HubSpotは無料プランがあり、まずCRMだけ試したい会社にはハードルが低い。

共通の落とし穴は「入力されない問題」。ツールの良し悪しよりも、現場の営業が毎日入力する文化をどう作るかが先。入力習慣がないままCRMを導入すると、3ヶ月で幽霊ツールになる。

3. 電子契約系 — クラウドサイン / いえらぶサイン

2022年5月の宅建業法改正で、不動産取引の書面が電子化可能になった。重要事項説明書や契約書を紙で印刷・郵送する手間が大幅に減る。

クラウドサインは業界を問わず導入実績が多く、弁護士ドットコムが運営しているという信頼感がある。いえらぶサインは不動産に特化しており、重説や37条書面のテンプレートが最初から用意されている点が強み。

月の契約件数が10件以下の会社なら、クラウドサインの無料プラン(月5件まで)でも足りる場合がある。まずは無料枠で試してみるのがいい。

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4. 会計系 — freee / マネーフォワード

不動産会社に限った話ではないが、仕訳入力や請求書発行を効率化するクラウド会計は導入して損がない領域。特に2023年10月のインボイス制度開始以降、紙の請求書だけでは対応しきれなくなっている。

freeeは銀行口座やクレジットカードとの自動連携が強み。仕訳の自動推測もあり、経理専任がいない小規模会社に向いている。マネーフォワードは部門別管理や経費精算との連携が充実しており、10名以上の会社で使いやすい。

税理士がどちらを推奨しているかも判断材料になる。顧問税理士に「どちらが連携しやすいですか」と聞いてから決めるのが現実的だ。

5. スプレッドシート業務自動化 — Google Sheets + GAS

月額費用ゼロ。追加のアカウント契約も不要。Googleアカウントさえあれば今日から使える。不動産会社の業務効率化で、最初の一歩として最もハードルが低い選択肢がこれだ。

顧客台帳、物件一覧、反響管理、売上集計。こうした管理業務をスプレッドシートに集約し、GAS(Google Apps Script)で通知や集計を自動化する。たとえば「反響から3日経っても未対応の顧客をSlackに通知」「週次の売上サマリーを自動メール送信」といった仕組みが、プログラミングの知識がなくても作れる。

「スプレッドシートなんてもう使ってるよ」という会社も多いと思う。ただ、ファイルがバラバラだったり、入力ルールが統一されていなかったり、集計が手作業だったりするケースがほとんど。「正しく使う」だけで、見える世界がかなり変わる。

全10ツール比較表

ここまで紹介した5カテゴリ10ツールを、費用・規模感・不動産特化度・導入難易度で一覧にまとめた。

ツール名カテゴリ月額費用目安向いている規模不動産特化度導入難易度
いえらぶCLOUD物件管理5万円〜10名以上★★★
日本情報クリエイト物件管理3万円〜10名以上★★★
SalesforceCRM/SFA3,000円〜/人30名以上
kintoneCRM/SFA1,500円〜/人10名前後★★低〜中
HubSpotCRM/SFA無料〜5名〜
クラウドサイン電子契約1万円〜全規模
いえらぶサイン電子契約要問合せ全規模★★★
freee会計2,680円〜5名以下
マネーフォワード会計3,980円〜10名以上低〜中
Google Sheets + GAS業務自動化無料全規模

※ 費用は2026年4月時点の公開情報をもとにした目安。プランや契約条件によって変動する。

規模別 — うちの会社ならどれを選ぶべきか

営業5名以下の会社

まずGoogle Sheetsに集約する。顧客台帳・物件一覧・反響管理をスプレッドシート1枚にまとめて、GASで通知を自動化する。会計はfreee。電子契約が必要ならクラウドサインの無料プラン。この3つで月額3,000円以下に収まる。

この規模で月額5万円以上のツールを入れるのは、正直おすすめしない。ツールの費用より、営業1人が1日30分多く顧客対応できる仕組みのほうが売上に直結する。

営業10名前後の会社

スプレッドシートの限界が見え始めるタイミング。入力者が増えるとシートが重くなり、権限管理も面倒になる。このフェーズでkintoneやHubSpotの無料CRMを検討する価値がある。

仲介メインでポータル連動が必要なら、いえらぶCLOUDの導入も選択肢に入る。ただ、いきなり全機能を使おうとせず、まず物件管理と反響取り込みだけ使い始めるのが定着のコツ。会計はマネーフォワードに切り替えると部門別管理がしやすくなる。

営業30名以上の会社

このクラスになると、業務ごとに専用ツールを入れて連携させる設計が必要になる。物件管理はいえらぶCLOUDか日本情報クリエイト、CRMはSalesforce、電子契約はいえらぶサイン、会計はマネーフォワード。ツール間のデータ連携をどう設計するかが肝になる。

ただし、30名以上でも「いきなり全部入れ替え」は失敗のもと。1カテゴリずつ、3ヶ月かけて定着させるくらいのスピード感がちょうどいい。

規模別おすすめ早見表

規模物件管理CRM/SFA電子契約会計月額目安
5名以下Google SheetsGoogle Sheetsクラウドサイン(無料)freee〜3,000円
10名前後いえらぶCLOUDkintone / HubSpotクラウドサインマネーフォワード8万〜12万円
30名以上いえらぶ / 日本情報Salesforceいえらぶサインマネーフォワード20万円〜

迷ったら、スプレッドシート1枚から始めるのが正解

10ツール並べておいてこう言うのも何だが、ほとんどの不動産会社にとって最初の一歩は「スプレッドシートを正しく使う」ことだと思っている。

CRMに月額5万円払う前に、まず顧客台帳を1シートに集約して、入力ルールを揃えて、GASで通知を飛ばす。この3ステップだけで、「誰が・どの案件を・いつフォローしたか」が店長の画面から見える状態になる。

入力の習慣がついてから、次のツールを検討すればいい。逆に言えば、スプレッドシートすら入力されない会社にCRMを入れても、結果は変わらない。

ツール選びで迷ったとき、大事なのは「機能の多さ」ではなく「今の自社に定着するか」。高機能なシステムを入れて使いこなせないよりも、シンプルなシートを全員が毎日開くほうが、業務は確実に前に進む。

SalesDockでは、不動産会社向けに「スプレッドシート1枚から始める業務効率化」の設計を支援している。「まず何から手をつけるべきか」が分からない方は、お気軽にご相談いただければと思う。

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 不動産・製造業・クリニックなど現場産業向けのAI業務効率化コンサルを提供。 30社以上の中小企業のAI活用・業務改善を支援。

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