JANコードがない商品の管理方法|自社コードの決め方と、現物に貼れないときのラベルの置き場所
番号を決めるより、読める場所に置くほうが難しい
JANコードがない商品の結論|番号を発行しただけでは管理されない
JANコードがない商品を管理したいという相談で、最初に議論になるのは番号の付け方です。ただ、番号の規則は決めれば終わります。実際に運用が止まるのは、決めた番号を現場のどこに持たせるかという段階です。商品そのものにシールを貼れない、貼っても外れる、貼る場所がない。ここを先に決めないと、台帳の上だけにコードがある状態になります。
- 自社の中だけで使う商品コードは自分たちで決められる。ただし使える番号の範囲は、使っているシステムとコードの体系で決まる
- 詰まるのは採番ではなく、そのコードを現物のどこに持たせるか。商品そのものに貼れない商品が必ず出てくる
- レジ横に紙のコード一覧を置く運用は、商品が増えたときと、探す人が慣れていないときに壊れる
JANコードは社外との共通の言葉です。GS1 Japan(一般財団法人流通システム開発センター)が管理していて、利用するにはGS1事業者コードの登録申請と、その後の更新手続きが必要です。付いていない商品は珍しくありません。仕入先が付けていない、少量生産で付ける前提になっていない、輸入品で日本のコードが付いていない、あるいは自社で組み合わせて作った商品。どれも自社の努力ではJANが手に入りません。
そこで、自社の中だけで通じる商品コードを自分たちで決めます。この記事は、そのコードを決めたあと、現場で実際に使える状態にするまでを扱います。何を1つの商品として数えるか(粒度)の決め方は商品マスタの作り方(何を1商品コードにするか)に分けてあるので、先にそちらで粒度を決めてから読むと順番が合います。
JANコードがない商品は、なぜ管理から落ちるのか
在庫の仕組みを入れたのに、一部の商品だけが台帳に載っていない。この状態はよく起きます。原因は能力や意欲ではなく、入口の作りです。
多くのシステムは、バーコードを読んで登録する流れが標準になっています。読めるものは流れに乗り、読めないものは「あとで手で入れる」に回されます。あとで手で入れる作業は、忙しい日には後回しになり、後回しになったものは翌日には思い出せません。こうして、JANの無い商品だけが台帳から抜けていきます。
抜けた結果として困るのは、たいてい高い商品です。少量生産や輸入品、自社で組んだセット商品にJANが無いことが多く、そういう商品ほど1つあたりの金額が大きい。つまり、金額の大きいものから台帳の外に出ていきます。
対策は、読めない商品を「あとで手で入れる」に回さないことです。読めるようにするか、読まずに登録できる入口を作るか。どちらかを決めてから運用を始めます。
自社コードを決める前に確認する3点
番号の規則そのものは、次の3点を確認してから決めます。順番を逆にすると、決めた規則が使えないと後から分かります。
- 使っているPOSや在庫システムが、自社で決めた番号を受け付けるか。桁数の制約、使える文字の種類、重複したときの動きを確認します。数字だけしか受け付けない、桁数が固定、という制約は珍しくありません
- 使ってよい番号の範囲。自社限定のコードに割り当てられる番号帯は、コードの体系と、使っているシステムの仕様の両方で決まります。適当な番号を選ぶと、他社のJANと同じ番号になって読み間違いが起きる可能性があります。採番の規則を決める前に、システムの提供元とGS1 Japanの公式情報で確認してください
- 番号に意味を持たせるかどうか。分類や仕入先を番号の桁に埋め込むと、番号を見ただけで分かる代わりに、分類が変わったときに番号が嘘になります。意味を持たせず通し番号にすると、番号からは何も分かりませんが、変更に強くなります。台帳で分類を引けるなら、通し番号のほうが後々楽です
現物にラベルを貼れない商品の逃がし先
ここがこの記事の本題です。番号を決めても、その番号を現物のどこに持たせるかで詰まります。
貼れない理由はいくつかあります。ラベルを貼ると商品の価値が下がる、包装や表示が隠れる、糊が残る、素材に貼り付かない、温度や湿度で剥がれる、贈答用でそのまま渡す。どれも「気をつけて貼る」では解決しません。
商品そのもの以外にコードを持たせる先は、おおむね次の4つです。
棚札・値札に持たせる
向いているもの: 定位置が決まっている商品
注意: 棚の側にコードを置く。商品を動かすと合わなくなるので、置き場所を変えたら札も動かす、を運用に含める
箱・袋・保護材に貼る
向いているもの: 現物に貼ると価値や品質を損なう商品
注意: 外装を外したら中身のコードが分からなくなるため、外装を外す作業の直前に読む、という順番を決める
下げ札・タグで付ける
向いているもの: 現物に糊を残したくない商品
注意: 外れて落ちる前提で、外れたものを戻す担当と場所を決めておく
棚位置そのものをコードにする
向いているもの: 1つの区画に1種類しか置かない商品
注意: 区画が空いたときに何が入っていたか分からなくなるので、区画と商品の対応表を別に持つ
どれを選ぶかは、コードを読む場所で決まります。レジで読むなら、レジに持ってこられるものにコードが付いていなければなりません。棚札に持たせた場合、商品だけがレジに来た時点で読めなくなるので、値札を商品と一緒に持ってくる運用にするか、レジ側で商品名から引ける道を用意します。 入荷のときだけ読んで、販売は別の方法で記録するなら、外装に貼るやり方でも成立します。
商品ごとに置き場所が違ってもかまいません。ただし、どの商品がどの方式かは台帳に書いておきます。書いていないと、担当者が代わったときに「この商品はどこを読むのか」が分からず、また手入力に戻ります。
レジ横の紙のコード一覧は、どこで壊れるか
現物にコードを付けられないときの現実的な回避策として、コードを一覧にした紙をレジの横に置き、そこから探して読み取る、という運用があります。すぐ始められて、費用もかかりません。
この方式が壊れるのは3つの場面です。1つ目は、商品が増えたとき。一覧が数ページになると探す時間が伸び、混雑時には探さずに手入力へ戻ります。2つ目は、探す人が慣れていないとき。一覧は商品名の並び順に依存するので、正式名称を知らない人には引けません。3つ目は、名前が似た商品が並んだとき。隣の行を読んでも気づけず、間違いが台帳に静かに入ります。
そのため、この方式は当面の回避策として使い、同時に減らしていく前提で置きます。減らし方は、よく売れる商品から順に現物側へコードを移すことです。一覧に残るのは、動きが少なくて探す機会も少ないものだけになります。
現物側へ移すときは、全商品を一度にやろうとしません。売れ筋の上位から着手して、一覧のページ数が減っていくことを確認しながら進めます。
台帳側で決めておくこと
コードと現物の話が片付いたら、台帳側で次を決めます。
- 自社コードの欄と、JANコードの欄を別に持つ。JANが後から付いた商品でも、自社コードは変えずに済みます
- そのコードを現物のどこに持たせているか(貼付・棚札・箱・棚位置)を1項目で持つ
- 読めなかったときにどうするかを決めておく。手入力を許すなら、あとで確認する印を付ける
3つ目を決めていないと、読めなかった件は記録に残らず、どの商品でつまずいているのかが見えません。印が付いた件を月に一度見れば、次にラベルを付けるべき商品が分かります。
自社の持ち物ではない在庫、たとえば顧客から預かっている商品も、同じコードで台帳に載せます。ただし在庫の行は分けます。分け方は預かり在庫の管理方法にまとめています。システム側でどこまで持てるかを見るときの考え方はkintoneの在庫管理はどこまでできるかが近い内容です。
効果は、読み取りの側で数えられる
効果を売上や工数で測ると他の要因と混ざるので、読み取りの側で数えます。始めた日に1回数えて、3ヶ月後にもう一度数えます。
- 台帳に載っている商品のうち、コードを現物側から読める商品の割合
- 紙のコード一覧に残っている行数
- 手入力で登録した件数と、そのうち後から訂正した件数
- 登録できる人の数(1人のままなら、仕組みではなく属人化のままです)
来週の一歩:読めない商品を10件選んで、置き場所を決める
コードの規則を決める作業より先に、読めない商品を10件選びます。選ぶ基準は、金額が大きいか、動きが多いか、どちらかに当てはまるものです。
その10件について、コードをどこに持たせるかを1件ずつ決めます。現物に貼れるか、棚札に持たせるか、箱か、棚位置か。決めたら、実際にその方法で1件だけ読ませてみます。ここで初めて、レジの位置や作業の順番と噛み合わないことに気づきます。
10件が読める状態になれば、残りは同じ判断の繰り返しです。逆に、10件で決められないものが残るなら、それはコードの問題ではなく、その商品の扱い方そのものが決まっていない可能性があります。
どの業務から整えるかで迷う場合は、3分の事業基盤診断が使えます。選択式の8問で、先に整える業務と、いまは触らない業務が分かれます。進め方を具体的に決めたい場合は、オンライン相談で自社の商品構成をもとに整理することもできます。製品の選定を代行するものではなく、決める順番を一緒に決める場です。
よくある質問
JANコードがない商品に、自分でJANコードを付けてもいいですか?
自社の判断でJANコードを作ることはできません。JANコードを使うにはGS1 Japanへの登録申請と、その後の更新手続きが必要です。社内・自店内だけで使う自社コード(インストアコードと呼ばれます)は自分たちで決められますが、使ってよい番号の範囲は、使っているPOSや在庫システムの仕様と、コードの体系の両方で決まります。採番の規則を決める前に、システムの提供元とGS1 Japanの公式情報で確認してください。
自社コードを付けたのに現場でスキャンされないのはなぜですか?
コードを読む場所と、コードが貼ってある場所が離れていることが多いです。レジで読むなら、レジに持ってこられた状態のものにコードが付いていないと読めません。商品そのものに貼れない場合、棚札や値札に持たせても、商品だけがレジに来た時点で読めなくなります。その場合は、値札を商品と一緒に持ってくる運用にするか、レジ側で商品名から引ける仕組みを用意するかのどちらかを決める必要があります。
自社コードは社外に出しても問題ありませんか?
自社コードは自社の中で意味が通る番号なので、社外へ出すと相手側の番号と衝突したり、意味の違う番号として読まれたりします。納品書や請求書に自社コードだけを書くと、相手はその番号で自分の台帳を引けません。社外へ出す帳票には、相手が使っている品番か、正式な商品名を併記します。
泉 款太(いずみ かんた)
株式会社SalesDock 代表取締役
慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に、累計40社以上の支援に携わる。
運営は株式会社SalesDock(大阪市中央区本町)。中小企業向けに、AI内製化(初期構築15万円+月額10万円・90日)と、 そのあとのAI顧問(月額5万円・6ヶ月契約から)を提供しています。価格は税別です。 大阪・関西を中心に、オンラインで全国からのご相談に対応しています。
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