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販売大臣・弥生販売・商奉行は何が違うのか|公式の機能範囲を並べて読む

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この記事の情報源について

この記事は、各製品の提供元が公式サイトで公開している情報を読み比べて整理したものです。私自身は販売大臣をはじめとする個別の販売管理ソフトを導入・運用した実務経験がないため、使用感や現場での所感は書いていません。書いているのは、公開情報から読み取れる事実と、経営管理・データ設計の側から見た「どこを見て選ぶか」という判断軸までです。価格・仕様は改定されることがあるため、判断に用いる際は各提供元の最新の案内をご確認ください。

この記事のポイント

3製品の違いは機能の多寡ではなく「どこで製品を分けているか」。弥生は会社の規模で、OBCは販売と仕入・在庫という業務の側面で、応研はグレードとオプションで分けている。この分け方が、そのまま自社に合うかどうかの判断材料になる。

販売管理ソフトの比較記事を読むと、たいてい機能の○×表が出てきます。ただ、その表を見て決められたという話をあまり聞きません。理由はシンプルで、どの製品も「受注管理」「在庫管理」「請求処理」の行には○が付くからです。

各社の公式サイトを読み比べていて、もう少し手前に違いがあると感じました。3社は製品の分け方そのものが違う。この分け方は各社が自社の顧客をどう見ているかの表明でもあるので、自社の状況と照らすと、どれが素直に当てはまるかが見えてきます。

この記事は各社の公開情報を並べたものです。使い勝手の評価や優劣の判定はしていません。

製品の分け方が3社で違う

提供元分けている軸公式サイトの製品区分
弥生会社の規模・同時利用台数弥生販売 26 スタンダード(小規模法人向け)/プロフェッショナル(中小規模法人向け)/プロフェッショナル 2ユーザー/ネットワーク(3台以上)
OBC業務の側面(売る/仕入れる)商奉行iクラウド(販売)/蔵奉行iクラウド(仕入・在庫)/商蔵奉行iクラウド(セット)。各製品にEシステム・Jシステムの区分あり
応研グレード+オプション販売大臣/販売大臣Super/販売大臣ERP。加えて入金支払消込・ロット管理・項目拡張・自動実行などが別売のオプション

この違いは、自社の状況に当てるとそのまま判断材料になります。

仕入や在庫を持たない業態(役務提供・受託開発など)なら、弥生のスタンダードやOBCの商奉行単体のように、販売側だけを買える製品構成が素直に当てはまります。逆に、在庫が経営の中心にある業態(卸・小売・製造)なら、仕入・在庫が本体に入っている構成のほうが継ぎ目が減ります。

応研のようにオプションで積み上げる形は、機能を細かく取捨できる一方で、必要なものが後から見つかると価格が動きます。判断のためには「今後2年で足す可能性がある機能」を先に洗い出しておく必要があります。

公式サイトが挙げている機能の範囲

各社が製品ページで自ら挙げている機能を、掲載どおりに並べます。書かれていないものを「できない」と読むことはできないので、あくまで各社が前面に出している範囲として見てください。

製品公式サイトが挙げている機能・特長
商奉行iクラウド
(E・Jシステム)
商品管理/得意先管理/伝票計算式(販売)/受注管理/売上処理/請求処理/入金処理/管理帳票/メニュー権限/部門権限/項目権限/プログラム自動更新/サポート(リモート共有・電話・WEB)
蔵奉行iクラウド
(E・Jシステム)
商品管理/仕入先管理/伝票計算式(仕入)/発注管理/仕入処理/在庫管理/精算処理/支払処理/管理帳票/伝票承認/各種権限/プログラム自動更新
弥生販売 26導入・設定/見積・受注・売上/請求・回収/集計・分析/発注・仕入、支払、在庫・生産(プロフェッショナル・ネットワーク限定)/印刷帳票/適格請求書の発行/弥生ドライブ・スマート証憑管理との連携
販売大臣AXワークフロー・内部統制/ERP対応/電子記録債権対応/電子請求・電子帳簿保存法対応/受発注同時入力・売上仕入同時入力/入金消込・支払消込/ロット管理・ロケーション管理/先入先出などの在庫評価/グループ会社での運用/WebAPI・Webhookでの外部連携/計算式機能

並べてみると、各社が誰に向けて書いているかが読み取れます。

弥生は「導入・設定」を機能の最初に置き、音声と動画で設定手順を解説するスタートアップガイドを訴求しています。読み手として想定されているのは、社内に情報システム担当がいない会社です。

OBCは各製品の機能一覧にメニュー権限・部門権限・項目権限、そして蔵奉行側には伝票承認が並びます。誰が何を見られるか、誰が承認するかが最初から製品の説明に入っている。人数が増えて権限を分ける必要が出てきた会社を想定した書き方です。

応研の販売大臣AXは、ワークフローと内部統制、電子記録債権、ロット管理・ロケーション管理、グループ会社での運用と、より込み入った要件が前面に出ています。ERP対応も特長として明記されています。

機能表の○×では見えない差が、この「何を最初に書いているか」に出ます。比較検討では、機能一覧より先に各社のトップページを読み比べたほうが、自社に近い製品が絞れます。

料金の形も揃っていない

料金は、金額の前に「形」が違います。そのまま横に並べると比較になりません。

製品公開されている金額
販売大臣NXスタンドアロン396,000円(税込)+DMSS Bコース1年52,800円(税込)買い切り+保守
販売大臣AXクラウドアプリライセンス1ライセンス1年118,800円(税込)+利用ユーザーライセンス年額(ライセンス2階建て)
弥生販売 26 スタンダード製品はオープン価格。あんしん保守サポートの通常価格はセルフプラン36,700円+税/ベーシック49,600円+税/トータル67,300円+税オープン価格+年間サポート
商奉行iクラウド(単体)Eシステム 月額7,340円~/年額88,000円~/初期費用0円、Jシステム 月額10,000円~/年額120,000円~/初期費用50,000円年間契約
商奉行11(パッケージ)商奉行i11スタンドアロン 250,000円〜、オプション300,000円〜買い切り(〜表記)

税の表記も揃っていません。応研は「掲載の価格・料金は税込です」と明記、弥生は「表示価格はすべて税抜価格です」と明記、OBCの料金ページには税に関する記載が見当たりませんでした(2026年8月11日時点)。

そのうえで、公開価格に含まれないものの扱いも違います。応研は「DMSS価格にプログラムのセットアップ・設定・指導の各費用は含まれておりません」と明記しています。弥生は製品がオープン価格で、販売地域や店舗により価格が異なる場合があると注記しています。OBCは奉行製品を直販せず、奉行製品を扱うパートナー企業を通じて販売する形をとっています。

公開価格をそのまま予算にできる製品はひとつもない、というのが実態に近い読み方です。比較表を作るなら、金額の欄とは別に「公開価格に含まれないもの」の欄を作ります。個別の内訳は「販売大臣の料金体系を公式情報から整理する」で分解しています。

更新とバージョンアップの扱いも違う

長く使う前提で見ると、制度改正やバージョンアップの費用がどこに乗るかが効いてきます。ここも各社の説明が違います。

OBCは料金に関するFAQで、プログラム更新やバージョンアップにコストはかからず、消費税改正への継続対応や適格請求書(インボイス)など将来の環境変化への対応が利用料に含まれると説明しています。クラウドの年額に織り込まれている形です。

弥生は「あんしん保守サポート」を有料の年間サポートと位置づけ、プラン別のサービスメニュー表にバージョンアップ製品無償提供・法令改正対応・電話サポート・メールサポート・チャットサポート・スマート証憑管理・データバックアップサービス・消費税改正業務相談・PC・ネットワークサポートといった項目を並べています。プランはセルフ・ベーシック・トータルの3段階で、電話での操作質問についてはベーシックプランまたはトータルプランを選ぶ必要があり、ベーシックプランは電話サポートの利用回数が契約期間中10回までと注記されています。

応研は保守サービスDMSSが本体とは別売で、コースと期間で価格が決まる形です。

つまり、「保守に入らない」という選択肢が実質的にあるかどうかが違います。年額契約のクラウドは保守が料金に内包されているので選択の余地がなく、買い切り+保守の形は入る/入らないを選べます。ただし法令改正のたびに製品を買い直す判断が必要になるため、5年で見ると保守に入るほうが安いことも多い。ここは自社で計算する項目です。

比較表を作るときの列

以上を踏まえると、機能の○×より先に埋めるべき列があります。

1. 仕入・在庫が本体に入るか、別製品か:入るなら継ぎ目が減る。別製品なら2製品分の費用と連携の確認が要る。

2. 同時に使う人数と、ライセンスの数え方:台数で数えるのか、利用者で数えるのか。OBCは掲載価格が利用者1・専門家1のライセンス構成、応研のAXクラウドはアプリライセンスと利用ユーザーライセンスの2階建てです。

3. 5年総額(税込に揃える):買い切り型は本体+保守5年、年額型は年額×5。税抜表記は税込に直す。

4. 公開価格に含まれないもの:導入設定・指導・データ移行・カスタマイズ。金額欄を空欄にせず「要確認」と書く。

5. データの出口:CSVの出力粒度とAPIの有無、そしてそれが標準か有償オプションか。

5列目を最後に置いていますが、優先度は低くありません。販売管理の数字を経営会議で使う予定があるなら、この列で候補が絞れることがあります。詳しくは「販売管理ソフトの数字を経営ダッシュボードに出す」で扱っています。

なお、専用の販売管理ソフトではなく汎用のプラットフォームで組む選択肢もあります。中小企業向けのCRM・SFAを含めた比較は「中小企業向けCRM比較」にまとめています。専用製品との違いは、作り込みの自由度と、その作り込みを誰が保守し続けるかです。

まとめ

3製品の違いは、機能の多寡ではなく製品の分け方に出ています。弥生は会社の規模で、OBCは販売と仕入・在庫という業務の側面で、応研はグレードとオプションで分けている。この分け方が自社の形と合っているかどうかが、最初の絞り込みになります。

料金は形が揃っていないので、5年総額に直し、税抜・税込を揃えてから並べます。そのうえで、公開価格に含まれないもの(導入設定・指導・移行)を別の列に立てる。この2つをやるだけで、比較表が判断できるものに変わります。

選定の全体像は「中小企業の販売管理ソフトの選び方」にまとめています。

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※ 本記事の製品区分・機能・料金に関する記述は、各社公式サイトの2026年8月11日時点の掲載内容に基づきます。出典は応研「販売大臣AX」同「販売大臣NX[価格]」弥生「弥生販売 26」同「料金・価格表」OBC「商蔵奉行クラウド|料金体系」同「商奉行11|価格」。各製品ページに記載のない機能について「できない」と判断できるものではありません。価格・仕様は改定されることがあるため、検討にあたっては必ず各提供元の最新の案内をご確認ください。

よくある質問

弥生販売のスタンダードとプロフェッショナルは何が違いますか?

弥生の公式サイトでは、スタンダードは小規模法人向けで「帳票のかんたん発行から売上管理までこれ1本で」、プロフェッショナルは中小規模法人向けで「販売業務から、仕入・在庫管理までをフルカバー」と説明されています。機能紹介のページには「発注・仕入、支払、在庫・生産」について「プロフェッショナル/ネットワーク限定機能」という注記があります。つまり仕入と在庫を扱うかどうかが分かれ目です。3台以上のネットワーク環境で使う場合は「弥生ネットワーク製品」が案内されています。

商奉行と蔵奉行の違いは何ですか?

OBCの料金ページでは、商奉行iクラウドが「販売」、蔵奉行iクラウドが「仕入・在庫」、商蔵奉行iクラウドがその2つのセットとして案内されています。掲載されている主な機能を見ると、商奉行側は得意先管理・受注管理・売上処理・請求処理・入金処理、蔵奉行側は仕入先管理・発注管理・仕入処理・在庫管理・支払処理と、売る側と仕入れる側で分かれています。両方が必要な場合はセットの商蔵奉行iクラウドが用意されています。

3製品の料金はどう比べればよいですか?

料金の形が3社で違うため、そのまま横並びにはできません。応研の販売大臣NXは製品価格(税込396,000円から)に保守サービスDMSS(1年52,800円から)を足す買い切り型、弥生販売26は製品がオープン価格で年間の「あんしん保守サポート」を組み合わせる形、OBCの商奉行iクラウドは年額88,000円~という年間契約です。税の表記も応研が税込、弥生が税抜、OBCの料金ページには税の記載が見当たりません。比べるときは5年間の総額に直したうえで、税抜・税込を揃える必要があります。

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に30社以上の業務改善に携わる。

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