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不動産営業にAIを入れた効果は?時間・返信の速さ・追客漏れの3つで確かめる方法

公開: ・ 最終更新: ・ 読了 8分

不動産営業にAIを入れた効果の結論

不動産営業にAIを入れた効果は、返信の文案や商談メモを書く時間、反響への最初の返信までの時間、次の連絡を忘れた顧客の数の3か所に出ます。どれも始める前に測っておけば、1ヶ月で比べられる数字です。

  • 不動産会社への調査(有効回答222件)で、生成AIのメリットとして最も多かったのは「単純作業や準備の時間が減った」(41.5%)でした。
  • AIの下書きを確かめて直す時間まで含めて比べないと、効果を大きく見積もります。
  • 成約数はほかの要因が混ざるので、最初の1ヶ月は3つの数字で判断し、成約は数ヶ月かけて見ます。

「AIを入れたら営業は楽になるのか」「売上にはどのくらい効くのか」。社長からこう聞かれて、答えに詰まる担当者は少なくありません。 効果が見えないまま月額だけ払い続けるのを避けるには、効果が出る場所を先に決めて、そこだけを測るのが近道です。

この記事は、AIを入れた効果の見方と測り方を扱います。どの場面からAIを使い始めるか、顧客管理の台帳をどう整えるかは不動産営業のAI活用方法と導入手順で解説しています。

効果が出るのは3か所で、成約は遅れて見えてきます

営業でAIに任せられるのは、文章の下書き、メモの要約、顧客の並べ替えといった作業です。そのため効果は、まずこれらの作業の時間に出ます。 作業が速くなると、反響への返信が早くなり、台帳の更新が追いつくので追客の抜けも減ります。

一方で、成約数や売上はAIの効果だけを切り出して測るのが難しい数字です。物件の良し悪し、価格、季節、担当者の提案力が同時に動くからです。 最初の1ヶ月は3つの数字で判断し、成約は浮いた時間を内見や電話に回せたかと合わせて、数ヶ月かけて見ていきます。

1ヶ月で測れる作業の時間1件あたりの分数返信の速さ受信から返信まで追客の抜け期日が空欄の顧客数成約と売上数ヶ月後に、ほかの要因と混ざる
先に測るのは上の3つです。成約は点線の枠のとおり、物件や価格の影響と混ざって遅れて表れます。
効果が出る場所何が変わるか比べる数字
作業の時間返信の文案、商談メモの整理、物件の紹介文を一から書く時間が短くなります選んだ作業1件あたりの分数(確認して直す時間を含める)
反響への返信の速さ下書きがすぐ出るので、問い合わせから最初の返信までが縮みます受信から最初の返信までの時間(10件の平均)
追客の抜け台帳から今日連絡する顧客を書き出させると、期日を過ぎた顧客が目に入ります次に何をするかと期日が空欄の顧客の数

不動産会社への調査では、時間が減ったという実感が最も多い

不動産会社が実際にどんな効果を感じているかは、いえらぶGROUPが2025年5月に不動産会社の従業員へ行ったアンケート(有効回答222件)が参考になります。 利用率と、使っている会社が挙げたメリットと課題を抜き出すと、次のとおりです。

いえらぶGROUP「生成AIに関するアンケート調査」から

  • 生成AIを業務で「利用したことがある」と答えた不動産会社は41.4%でした。
  • 使ってみて感じたメリットは、「単純作業や準備の時間が減った」が41.5%で最も多く、 「文章作成や社内のやり取りが楽になった」が35.9%で続きました。
  • 課題では「表現が不自然で、そのままでは使いづらい」が25.4%挙がっています。
  • まだ使っていない会社の理由は「どのように使えばよいか分からない」が60.0%でした。

いえらぶCLOUDを使う不動産会社の従業員などへのインターネット調査です。調査期間は2025年5月12日〜23日。

この結果から読み取れるのは、効果の中心がいまのところ書く作業と準備の時間にあることです。 同時に、4社に1社ほどは出てきた文をそのまま使えないと感じています。つまり、AIが文を作る時間が短くなっても、人が直す時間が残ります。 効果を測るときに、直す時間を数えに入れる必要があるのはこのためです。

反響への返信が早くなると、商談につながる割合が変わります

3か所のうち、売上に一番近いのが反響への返信の速さです。AIで最初の返信の文案がすぐ出れば、問い合わせを受けてから返すまでの時間を縮められます。 返信の速さがどれほど効くかは、米国の研究で測られています。

Harvard Business Review「The Short Life of Online Sales Leads」(2011年)から

  • 米国の42社が受けた125万件の問い合わせを調べた研究です。
  • 問い合わせから1時間以内に連絡した会社は、1時間後に連絡した会社に比べて、決裁者と意味のある会話ができた割合が7倍近くでした。
  • 24時間以上待った会社と比べると、60倍を超えていました。
  • 別の調査では、米国の2,241社に試しの問い合わせを送ったところ、1時間以内に返した会社は37%にとどまりました。

不動産業に限った研究ではなく、AIを使った比較でもありません。返信の速さそのものの影響を示すデータとして紹介しています。

ただし、文案が早く出るだけでは返信は早くなりません。問い合わせに気づくまでの時間と、誰が返すかを決めるまでの時間が残るからです。 返信までの時間を縮める通知と担当の振り分けは、反響対応のスピードを上げる仕組みにまとめています。AIの文案づくりは、その仕組みの最後の一段を短くするものと考えると、効果を大きく見積もらずに済みます。

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確認して直す時間が長いと、効果は出ません

AIを入れても効果が見えない会社でよく起きているのは、AIの下書きは一瞬で出るのに、空室や価格を確かめて文を直す時間が長くかかっている状態です。 合計すると、担当者が自分で書いていたころと変わらないか、かえって長くなっていることがあります。

導入前担当者が一から書く効果が出る形下書き確かめて直す短くなる効果が出ない形下書き材料を探し、確かめて直す長くなる導入前の長さ
比べるのは下書きの速さではなく、確かめて直すまでの合計です。材料を探す時間が長いと、導入前の長さを超えます。

確認と直しが長くなる原因は、たいてい次のどれかです。

  • 顧客の情報が散らばっている。希望条件や前回のやり取りがメールや手帳に分かれていると、AIに渡す材料を集めるだけで時間がかかり、出てくる文案も毎回ぶれます。
  • 指示文が人によって違う。全員に一度に配ると、それぞれが自己流で使い、直す箇所も人ごとに違ってきます。最初は1人か2人に絞るほうが、直す点を指示文に戻しやすくなります。
  • 物件の事実をAIに書かせている。設備や条件を元の資料から離れて書かせると、確認の手間が増えます。指示文に「物件情報に書かれていないことは書かない」と入れておくと、確認が軽くなります。

お客様の情報をAIに入れる場合は、入力したデータが学習に使われない法人向けの設定かどうかも、始める前に確かめておきます。個人情報保護委員会も、生成AIに個人データを入れる事業者へこの確認を求めています。

効果は、始める前と1ヶ月後を同じ測り方で比べます

効果を確かめるうえで一番大事なのは、使い始める前の数字を取っておくことです。使い始めてからでは、導入前の数字は二度と取れません。 対象は1つの作業と1〜2人の担当者に絞り、次の順で進めます。

  1. 始める前の2週間で、選んだ作業の1件あたりの時間を3件分測ります。あわせて、反響の受信から最初の返信までの時間を10件分と、台帳で次の行動か期日が空欄の顧客の数を記録します。
  2. 使う1ヶ月のあいだは、AIの文案を直した箇所を毎回1行でメモします。同じ箇所を何度も直しているなら、指示文に足します。
  3. 1ヶ月後に、始める前と同じ数え方で3つの数字を取り直します。作業時間には、確かめて直す時間も必ず含めます。
  4. 判断します。確認まで含めた時間が短くなり、空欄の顧客が減っていれば、ほかの担当者に広げます。変わらなければ、直した箇所のメモを見て原因を探すか、別の作業に切り替えます。
始める前の2週間3つの数字を取る担当は1〜2人使う1ヶ月直した箇所を1行指示文に戻す1ヶ月後同じ測り方で比べる広げるか切り替える作業時間には、確かめて直す時間を必ず含める
始める前の2週間を飛ばさないのが要点です。導入前の数字が無いと、1ヶ月後に何とも比べられません。

減った時間を金額に直すと、続けるかどうかを決めやすくなります

社長に続ける理由を説明するときは、減った時間を金額に直します。計算は、1件で減った分数に月の件数を掛け、担当者の時給を掛けるだけです。 ここで使う分数は、確かめて直す時間を含めた比較から出したものに限ります。

計算の例(数字は説明のための仮の値です):反響への最初の返信が、確認込みで1件10分短くなったとします。月に60件の反響があれば、600分で10時間です。担当者の時給を2,500円とすると、月2万5,000円分の時間になります。

比べる相手:この金額と、AIの利用料や指示文を整える手間を比べます。浮いた10時間を内見や電話に回せたかどうかも、あわせて記録しておきます。

時間を金額に直す考え方と、売上や採用への効果まで含めた計算は、AI導入のROIの計算式と測定軸で詳しく扱っています。商談メモの要約で効果を測りたい場合は、不動産の商談メモをAIで要約する方法が入り口になります。

出典・一次情報

調査の数値は公表時点のものです。最新の情報は公表元でご確認ください。

不動産営業のAIの効果についてよくある質問

不動産営業でAIを使うと、どんな効果がありますか?

効果が出やすいのは、返信の文案や商談メモの整理など、書く作業の時間です。不動産会社への調査(有効回答222件)でも、生成AIのメリットとして最も多く挙がったのは「単純作業や準備の時間が減った」でした。そのほか、反響への最初の返信が早くなることと、台帳を使った追客の抜けが減ることにも効果が出ます。

AIを入れると、成約数は増えますか?

AIだけで成約数が増えるとは言い切れません。成約には物件、価格、時期、担当者の提案など多くの要因が重なるためです。まずは作業時間、返信までの時間、追客の抜けの3つで効果を確かめ、浮いた時間を内見や電話に回せたかを見ます。成約への影響は、そのあと数ヶ月単位で見ていきます。

効果はどのくらいの期間で分かりますか?

作業時間と返信までの時間は、1つの作業に絞って1ヶ月試せば比べられます。そのためには、始める前の数字を先に記録しておく必要があります。使い始めてからでは、導入前の数字は取れません。

AIを入れても効果が出ないのは、どんなときですか?

AIの下書きを確かめて直す時間が長く、合計すると導入前より時間がかかっている場合です。顧客の情報が担当者の手元に散らばっていて、AIに渡す材料が毎回違うときに起きやすくなります。全員に一度に配って、使い方がばらばらになったときも効果が見えなくなります。

泉

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に、累計40社以上の支援に携わる。

運営は株式会社SalesDock(大阪市中央区本町)。中小企業向けに、AI内製化(初期構築15万円+月額10万円・90日)と、 そのあとのAI顧問(月額5万円・6ヶ月契約から)を提供しています。価格は税別です。 大阪・関西を中心に、オンラインで全国からのご相談に対応しています。

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この記事の数値について

本文中に一次資料へのリンクがある数値は、リンク先を出典としています。 リンクのない業務設計、判断基準、実務上の目安は、SalesDockが累計40社以上の支援と自社運用で得た知見を一般化したものです。 個別企業での成果を保証する数値ではなく、条件によって変わります。

CASE

実際の支援では、こう変わりました

  • 人材紹介3ヶ月の伴走支援

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