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AI活用入門

ローカルAIエージェントとは?社内文書検索で確認する処理場所と外部送信の範囲

8分で読める

結論:社内文書を使う前に、工程ごとの処理場所と送信先を確認します

ローカルAIエージェントは、自社のPCや社内サーバーで動くAIエージェントを指す言葉です。ただし、どの処理まで手元で行うかは構成によって異なります。社内文書検索で選ぶなら、「ローカル」という名称より、質問文と文書の抜粋がどこへ渡るかを確認してください。

  • PCで動くアプリと、PCの中で回答を生成する構成を分けて確認します。
  • 文書の読み取りからログ保存まで、渡す情報と接続先を一覧にします。
  • 確認できない経路がある間は、実際の社内文書を入れずに架空の資料で検証します。

AI導入全体の進め方は中小企業のAI導入 完全ガイドで整理しています。この記事では、社内文書を検索する構成の処理場所と外部送信範囲に絞ります。

ローカル実行とローカル推論は、分けて確認します

たとえばPC上のアプリが社内フォルダーを読み、その本文をクラウドのAIへ渡して回答を作るなら、アプリの実行場所はPCでも、推論は外部で行われます。一方、モデルもPC上で動かす構成では、回答生成を手元で行えます。社内サーバーで動かす場合は、端末内ではなく社内ネットワーク内で処理する構成として区別します。

さらに、回答生成だけをローカルにしても、画像の文字起こしや検索データの作成を別のサービスへ任せることがあります。外部へ出せない情報があるなら、対象は「AIへ直接入力する文章」だけではありません。質問文、検索された抜粋、エラーに含まれる本文も含めて見ます。

文書検索そのものに、必ずエージェントが必要なわけでもありません。資料を決まった手順で検索する仕組みと、質問に応じて参照先や追加検索を選ぶ仕組みは分けて検討します。業務への任せ方はAIエージェントの活用と試行の進め方も参考になります。

Microsoftの公表教材では、検索と回答生成を手元で構成しています

Microsoftの教材には、文書からローカルで検索用データを作り、手元のデータベースから関連箇所を探し、ローカルの小規模言語モデルへ渡す構成例があります。検索で取り出した資料を回答生成に使う方法は、RAGと呼ばれます。同じ教材は、用途に応じてクラウドも使う構成も説明しています。出典:Microsoft「ローカルAIエージェントの作成」

これは公表された学習用の構成例です。SalesDockが実装・実測した事例ではありません。「ローカル」という言葉だけで構成全体を判断せず、検索、推論、ツール接続をそれぞれ確かめる参考になります。

端末上でモデルを動かす仕組みの一つに、Microsoft Foundry Localがあります。公式説明では、初回にモデルをダウンロードし、保存したモデルを端末で実行します。初期準備に必要な通信と、業務中のデータ送信を分けて確認することが大切です。出典:Microsoft Learn「What is Foundry Local?」

文書検索を5つの工程に分け、送信先を書き出します

管理部門の責任者とシステム担当者が、次の表を一緒に埋めます。各行に製品名だけでなく、実際の処理先、送る情報、設定の確認箇所、確認した日を残します。契約先へ確認中の項目は、そのまま未確認と記載します。

社内文書検索の処理場所・送信先の確認表
工程扱う情報確認する場所
文書を読み取る本文・画像・添付ファイル文字抽出やOCRをどの端末・サービスで行うか
検索用データを作る分割した本文・検索用の数値データ埋め込みモデルの処理場所と検索データの保存先
質問から資料を探す質問文・利用者の識別情報検索先、認証方法、閲覧権限の適用場所
回答案を作る質問文・見つかった本文の抜粋推論先と、失敗時に別サービスへ切り替える条件
履歴を残す質問・回答・エラー・参照情報ログ、監視、バックアップの保存先と保持期間

検索用の数値データを作る「埋め込み」も、処理先の確認対象です。元文書を手元へ置いていても、そのデータを作るために本文を外部へ送るなら、文書の保管場所だけでは判断できません。追加した検索機能や拡張機能も、同じ表で見直します。

架空例:社内規程を探し、根拠のある回答案だけを返します

ここからは検討用の架空例です。実在企業の規程や顧客情報は使っておらず、AIを動かした結果でもありません。管理部へ繰り返し届く「出張申請の変更は、誰へ確認すればよいですか」という質問を扱います。

入力資料と許可する操作を決めます

試験用フォルダーに、架空の「出張手続き・現行版」と「出張手続き・旧版」を置きます。現行版には確認窓口が管理担当と書かれ、旧版には別の窓口が書かれている設定にします。対象外の資料は別のフォルダーに置き、実際の人事・給与情報は使いません。

エージェントに許可するのは、利用者が閲覧できる試験用文書の検索と回答案の作成までです。申請の承認、ファイルの変更、担当者へのメッセージ送信は含めません。閲覧範囲は指示文だけに頼らず、接続先の権限でも制限します。

期待する回答と、答えない条件を用意します

架空の回答案の見本

確認先は管理担当です。根拠は「出張手続き・現行版」の「申請内容の変更」欄です。旧版には異なる窓口の記載があります。現行版の適用対象に当てはまるか不明な場合は、管理担当へ確認してください。

資料が見つからない場合は「確認できません」と返し、窓口を推測で補わない条件にします。現行版の指定が外れた場合も、更新日だけで正本を決めず、文書管理者へ戻します。自然な文章が返ったかより、参照資料と該当欄を開いて確かめられるかが判断材料です。

設定・通信・回答を照合し、変更後も同じ条件で試します

試験では、先ほどの工程表と実際の動作を突き合わせます。通常の質問だけでなく、検索に失敗する場合やネットワークが使えない場合も対象にします。業務責任者は回答の正誤を、システム担当者は接続先と権限を確認します。

  1. 試験時のモデル、アプリ、接続先、設定の版を記録します。失敗時にクラウドへ切り替わる設定があるかも確認します。
  2. 架空の資料で通常検索と失敗時の動作を試し、管理者が接続先の記録と設定を照合します。記録で確認できない送信内容は、未確認として残します。
  3. 切断中に動くかを試す場合は、接続を戻した後の同期やログ送信も確認します。オフラインで一度動いたことだけで、全経路の非送信を証明したとは扱いません。
  4. 権限外の文書が検索結果や回答へ混ざらないか、旧版を使った回答を検出できるか、資料がないときに止まるかを確認します。
  5. モデル、検索機能、接続先、文書の版を変えたら、同じ試験資料で再確認します。未確認の接続先が増えた場合は、実文書の処理を止めて見直します。

費用も、API利用料だけでは比較できません。機器、電力、文書の更新、利用者の権限変更、回答の修正、障害対応にかかる負担を含めます。効果は、質問の受付から人の確認を経て完了するまでの時間と、根拠を確認できなかった件数を記録して判断します。本記事の架空例には、削減時間や精度の実測値はありません。

相談前に、文書の正本と確認担当を整理します

「社内文書を外へ出したくない」という要望を、誰がどの文書を使い、どこまでの処理を許可するかに置き換えると、実装条件を検討しやすくなります。相談時は実文書を送らず、文書の種類、正本の管理者、質問の例、未確認の処理先を整理してください。外注する範囲はAI開発の見積項目と責任分界でも確認できます。

情報の受け渡しを、別業務の架空例で確認する

月次資料の確認と書式合わせを題材にした全10ページの資料です。出典や未確認事項を残す考え方を確認できます。ローカルAIの導入手順書ではありません。

架空の業務例をまとめた資料を見る

自社では何を確認すべきか整理したい場合は、無料相談を申し込む(60分)をご利用ください。SalesDockでは、業務とデータのつながりから、AI活用の対象と進め方を整理します。

よくある質問

ローカルAIエージェントなら、社内文書は外部へ送られませんか?

名称だけでは判断できません。AIモデルの処理場所に加え、文書の文字抽出、検索用データの作成、外部ツール、ログの送信先を確認します。PCで動くアプリでも、回答生成を外部APIへ依頼する構成があります。

インターネットを切って動けば、外部送信なしと判断できますか?

切断中に必要な機能が動くことは確認できますが、それだけでは十分ではありません。接続を戻した後の同期やログ送信も確認します。設定・構成と管理者が確認する通信記録を照合し、未確認の経路を残さないようにします。

社内文書検索には、必ずAIエージェントが必要ですか?

必要とは限りません。決まった資料を検索して表示するだけなら通常の検索でも対応できます。質問に応じて参照先や追加検索を選ばせたい場合に、エージェントとして任せる範囲を検討します。

ローカルAIは無料で運用できますか?

モデルの利用条件に加え、機器、電力、データ整備、確認、保守の費用や時間がかかります。外部サービスを組み合わせればその利用料も必要です。人が確認して業務を完了するまでの負担で比較します。

泉 款太(いずみ かんた)

株式会社SalesDock 代表取締役

慶應義塾大学法学部卒。スタートアップ、ラクスル、リクルート(SUUMO)を経て2025年に独立。 中小企業の経営・営業・業務・データをつなぐ事業基盤の設計と実装を支援。 不動産・製造業・クリニックを中心に、累計40社以上の支援に携わる。

運営は株式会社SalesDock(大阪市中央区本町)。中小企業向けに、AI内製化(初期構築15万円+月額10万円・90日)と、 そのあとのAI顧問(月額5万円・6ヶ月契約から)を提供しています。価格は税別です。 大阪・関西を中心に、オンラインで全国からのご相談に対応しています。

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この記事の数値について

本文中に一次資料へのリンクがある数値は、リンク先を出典としています。 リンクのない業務設計、判断基準、実務上の目安は、SalesDockが累計40社以上の支援と自社運用で得た知見を一般化したものです。 個別企業での成果を保証する数値ではなく、条件によって変わります。